「1日4000人違反」コロナ水際対策は“税金の無駄遣い” ビデオ通話が女性に不評の理由

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

「部屋の中を見せてください」

 ズルして切り抜けた人もいれば、うっかり1日報告を忘れてしまった人もいる。中にはバカバカしいと思って、真面目に報告するのをやめた人もいるだろう。返事をしなくても、罰を受けないのだから。こうした効果が疑問視される作業のために、国は予算を割いて、280人もの人員を雇っているというのだ。厚労省は取材にこう答える。

「ビデオ通話について限界があることは承知していますが、位置情報アプリと合わせて運用することで、抑止力を高め、しっかり自宅待機してもらうよう取り組んでおります。氏名公表について1件も実施されていないのは事実ですが、誓約を守らなかった正当な言い分を聞いた上で実施しなければならないこともあり、慎重に検討を進めているところです」(健康局健康課)

 女性の帰国者からは、ビデオ通話についてこんな不満も出ている。

「向こうは一切顔を見せないんです。しかも相手は男性です。自宅ですっぴん状態の時に一方的にかかってきて、『部屋の様子を見せてください』っていきなりカメラを室内に向けさせられるのは、本当に嫌でした。顔の見えない相手にプライベートな空間を見られるって気持ち悪いですよ。相手がどんな表情をしているのかもわからないのですから」

 市中ではインド型の変異株が猛威をふるっているが、こんなあべこべな水際対策で、本当に感染拡大を防ぐことはできるのだろうか。前出の男性はこう力説する。

「経験したからこそ言えますが、この水際対策はまったく無意味です。何のために多額の税金を投入し、このような監視業務を行なっているのかがよく分からない。国民のためなのか、国会のためなのか、海外に向けたものなのか。こんな無意味な対策をするくらいなら、いっそ強制隔離にした方がまだいい。それが出来ないならば、罰金を設けたり、帰宅後に時間をおいてPCR検査を受けさせて陰性ならば解放するなど、実効性の高い対策に今すぐ切り替えるべきです」

デイリー新潮取材班

2021年6月25日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。