平井大臣のNEC「暴言騒動」に新展開 IT総合戦略室幹部「慶大教授」の密接業者が受注

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

利益相反の疑いも

 オリパラアプリの事業費削減をめぐる平井卓也大臣の“暴言騒動”では、ついに6月22日、大臣サイドが問題視された会議の音声データを公開し、反撃に出た。だが、ここにきて新たな疑惑も噴出。受注した共同事業体の中に、IT総合戦略室の幹部である「慶大教授」と密接な関係の複数の業者が含まれていたことが判明したのだ。

 ***

 オリパラアプリ事業を担当していたのは、平井大臣と「内閣官房IT総合戦略室」。今回、疑惑が浮上したのは、戦略室の室長代理を務める神成淳司(しんじょうあつし)・慶大教授である。教授は7年前に戦略室に入り、今では幹部の中で唯一の民間メンバー。オリパラアプリについては、まさに全体を管理する担当者を務めていた。

 今年1月末、オリパラアプリの事業者選定の過程が国会で追及された。事業が73億円と高額であり、入札告示から提案書提出期限まで10日ほどしかなかったことから「出来レースではないか」と野党に突っ込まれたのである。これを受けて大臣サイドは内々に調査を指示。すると、

「今回落札した事業体に、彼と密接な関係の業者が含まれていることがわかったのです」(内閣官房関係者)

 1社はNEC。教授はこれまでNECの子会社であるNECソリューションイノベータ社と研究を共にし、共同で特許技術を開発する関係にあった。そしてもう1社が、アプリの連携基盤サービスを担当するJBSである。

 JBSは、実務を「ネクストスケープ」なる会社に委託。このネクスト社は、神成教授が代表を務める別の事業におけるビジネスパートナーに当たり、教授と同社の社長は、メディアで対談までする仲なのだ。つまり、このプロジェクトの指揮を執った神成教授と非常に親しい業者が複数、事業体に含まれていることになる。

 疑惑はこれだけではない。

「更には、アプリ事業で2億円が支払われる見積もりが出されていたライセンスの一つが、教授が関わったものであることもわかった。これでは落札過程に疑念を抱かれても仕方ありませんし、万が一、受注したことで何らかの利益が教授に入ることになれば、利益相反すら疑われてしまう」(同)

 これらの疑惑について戦略室は「御指摘のような事実関係について把握しておりません」としつつも、

「必要があれば、今後設置するコンプライアンス委員会における調査の対象になり得るものと承知しております」

 と含みをもたせる。なお6月18日以降、神成教授はこのアプリの担当から外れている。

 6月24日発売の週刊新潮では、今回の騒動の裏に渦巻く、膨張する一方の政府のIT予算を巡る関係者の暗闘と併せて報じる。

週刊新潮 2021年7月1日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。