流行の「SDGs」でバラエティ番組から名物企画が消える日

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お叱りの声に変化

 SDGSsを推し進めるキャンペーンが“Good For the Planetウィーク”だ。初日の5月31日、夜の番組で最初に放送されたキャンペーン番組が「有吉ゼミ」である。この日はヒロミとジェシー(SixTONES)によるDIY企画“八王子リホーム”だった。かつてヒロミの運転手を務めたお笑いコンビ・天津の木村卓寛が岩手に単身赴任中のため、彼のワンルームマンションを“端材”でリフォームするというテーマだった。ナレーションが入る。

「今週は日テレ系の番組で、地球の未来のためにいいことを視聴者の皆さんと考える“Good For the Planetウィーク”。実は、日本の工場や建築現場で出る端材ほか建築廃棄物は年間7000万トン以上になるとも言われるのだが、近年SDGs、持続可能な開発目標の考えのもと、その再利用が注目されている」

 丸太の端材を使ったテーブルや、壁面収納、折り畳みの2段ベッドなどを手際よく作っていくヒロミとジェシー。溶接機まである豊富な機材はともかく、SDGsのテーマに沿った企画だった。

「この日の放送は好評だったと思います。ただし、『有吉ゼミ』は本来、大食いや激辛グルメのコーナーが人気の番組なんです。前週の24日も“ギャル曽根VSチャレンジグルメ”と“超激辛!地獄のエンマ冷麺”がメイン企画でした。もともと、こうしたバラエティ番組には“大食いコーナーはいかがなものか”“食べ物を粗末にするな!”といった意見が寄せられますからね。今回は敢えて放送しなかったというわけです」

 ニュース番組や情報番組でSDGsを取り上げたのとはわけが違う。今回、日テレは会社を挙げて、バラエティ番組もキャンペーンに取り組んだ。

「ほぼ毎日、SDGsをテーマにした番組を放送した結果、関心の高い視聴者から“キャンペーンの1週間だけ取り上げるだけなのか? それでよいのか?”“キャンペーンを終えたら、また環境に優しくない放送をするのはおかしい”という意見が寄せられました。『ぐるぐるナインティナイン』の人気コーナー“ゴチになります”も、今回は“地産地消ゴチ”と名付けて、東京で採れる食材でバトルを繰り広げたのですが、“フードロス削減が叫ばれている中、高級料理を食べる企画はいかがなものか”という意見もあったそうです」

 確かに正論ではあるけれど……。

「今回“♯今からスイッチ”というテーマで展開したキャンペーンは、CMスポンサーからの評判もよく、日テレは『24時間テレビ』のように、このSDGsキャンペーンを毎年展開していく予定だそうです。パーソナリティに起用されたTOKIOも、レギュラー番組『ザ!鉄腕!DASH!!』のPRにもなったので喜んでいるそうです。『鉄腕DASH』は長年、自然に向き合ってきた番組ですからね。SDGsキャンペーンが続く限り、彼らのパーソナリティも継続するでしょう」

 日テレのバラエティといえば、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」(89~96年)に代表されるような、過激で無茶な企画がウリだった頃もあったが……。

「SDGsの17の分野別の目標には、貧困をなくそう、飢餓をゼロに、ジェンダー平等を実現しよう、人や国の不平等をなくそう、といったものがあります。テレビ番組を制作する上で、特にバラエティの大食い企画といった名物企画は制作しにくくなり、ますます番組は面白くなくなる可能性もあります。ますますテレビ離れが進むかもしれず、本当に頭の痛い話です」

デイリー新潮取材班

2021年6月19日掲載

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