河野太郎大臣、政治資金規正法違反の疑い 「後援会バス旅行」を収支報告書に記載せず

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100万単位の金が…

 ここまでなら、何の問題もなく、どこにでもある、政治家の地盤涵養(かんよう)行為の一環だ。しかし問題は、これら全てについて、政治資金収支報告書への記載がまったくないことである。

 政治資金規正法では、団体にまつわる、すべての収支を収支報告書に記載するよう義務付けているのは周知の通り。

 河野大臣の場合、関係する政治団体は二つだ。

 資金管理団体である「河野太郎事務所」。そして、政党支部である「自由民主党神奈川県第15選挙区支部」。両団体はいずれも河野大臣自身が代表を務め、神奈川県選挙管理委員会に登録。収支報告書を提出している。現在、見られるのは17、18、19年の3年分だが、両団体の報告書のどこにも、バス旅行のいかなる記載もないのである。

 また、公益財団法人の「政治資金センター」では、遡ること11年までの収支報告書を保管し、ネット上で公開している。それを見ても、両団体の報告書にはバス旅行の記載はない。

 さらに、だ。

 このバス旅行の主催者であるはずの「河野太郎後援会」に至っては、これだけ大規模な「政治活動」を毎年、あちらこちらで行っているにも拘わらず、政治団体の届出すらしていない。従って報告書の提出もない。

 100万単位の金銭の出入りがあるバス旅行の収支が、約10年間に亘(わた)り、まったくの「闇」に包まれてしまっているというわけである。

「今回の事例は非常に問題があると思います」

 と述べるのは、政治資金に詳しい、日大大学院の岩井奉信講師。

「政治資金規正法は、あらゆる政治活動のカネの流れを透明化するのが趣旨です。この場合、河野太郎という政治家個人に関わるイベントの収支ですから、河野大臣の関係する政治団体のどこかに記載されていないとおかしい。後援会が政治団体を持たず、一方で議員も事務所も関与しているのですから、河野大臣の関係団体に記載するのが当然。政治資金規正法上の不記載に問われる可能性もあります」

 また、やはり政治資金に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授も言う。

「後援会が政治団体になっていない時点で極めて問題です。大臣や夫人、事務所が明確にバス旅行に関与しているのであれば、これは本来、大臣に関係する政治団体が記すべきでしょう」

 不記載といえば、安倍前総理の秘書が「桜を見る会」の前夜祭の収支を記載せずに、略式起訴されたのが記憶に新しいところである。

 また、地元を回ると気になる話も耳にする。

「バス旅行には行ったことがあるけど、他のツアーに比べて全然高くないと思った」

「参加したことはあるけど、詳しいことを言うとまずいことになるから言えない」

 万一、旅行が赤字になり、その差額を事務所が補填でもしていたら、これはまた、公選法で定められた寄付の禁止などに抵触する可能性も。菅原一秀元経産相が議員辞職した容疑と同様だ。そうした疑念を持たれず、透明化するために記載義務があるのに、それすらしていないのだから、疑惑を持たれても仕方ないのである。

ブラックボックス

 河野大臣といえば、「政治とカネ」の問題にも厳しい姿勢を見せてきた。

「太郎さんはクリーン。ケチで有名で、事務所に行っても水しか出てこない。それくらい厳しい人」(地元後援者)

 かつては会見で「古い自民党は『政治とカネ』の問題をひきずってきた」と指摘。「政治家の財布を資金管理団体と政党支部の二つにした方が透明性は増す」が持論だ。しかし、そう述べるご本人自ら関わるイベントの会計が、報告すらされていないのだから、何をかいわんや。

 しかも、である。

 河野大臣関係のデタラメな政治資金の扱いはこの点だけに留まらない。やはりバス絡みで、もう一件、不可解な資金処理が見える。

 河野大臣は、毎年秋に都内のホテルで「河野太郎と21世紀の日本を語る会」なる、政治資金パーティーを開催している。このパーティーに際し、地元の選挙区から参加するメンバーに関しては、希望者のみ、事務所がバスを手配し、送り迎えをしている。

 参加者によれば、

「乗ったことがありますよ。秘書さんが2千円ほどを集めます。東京から選挙区への電車代と同じにしていると言っていました。で、事務所がバス会社にまとめて料金を支払うのです」

 実際、このバス代金について、先に述べた大臣関係の政治団体のうち、「河野太郎事務所」の政治資金収支報告書の「支出」の欄には毎年記載がある。どの年もおおよそ35万円前後だ。しかし、それに対応する「収入」の欄を見ると、当然あるべき、これに当たる記載が抜け落ちているのである。これももちろん不記載。加えて前出・上脇教授によれば、

「全体の収支が合いませんよね。入るべき35万円が記載されていないのであれば、その額は実際何に使われたのか。金の行方はブラックボックス。言わば『裏金』となっているのです」

 と、こちらも何やら臭うのである。

「クリーン」なはずの大臣に提起された二つの疑惑。当の河野事務所はどのように答えるのか。

 まず、疑惑の2点目、資金パーティーの送迎バスについては、

「質問を受け収支報告書を確認したところ、収入の記載が無いことがわかりましたので調査の上、必要な措置を講じたいと考えております」

 と誤りを認める。

 が、1点目の「バス旅行」については、

「関係政治団体からの収支がないことから計上を行っていません」

 と、要は、自らの団体とは関係なく、後援会の問題だ、と言いたいようだ。

 しかし、自らがどっぷり関わるイベントについて、全く報告がされていないのに知らぬ存ぜぬではあまりに無責任。日頃誇る「発信力」の欠片(かけら)も感じられない。

 また、そもそも、

「実は10年程前まで『河野太郎後援会』は政治団体として登録されていました。それが『河野太郎事務所』と名前を変えた上に解散。代表は太郎さんの秘書でした」(古参の地元後援者)

 というから、河野事務所と後援会自体が密接不可分。関係ないでは済まされないのは明白である。

「彼は、異端児と言われ、旧弊に囚われないタイプの政治家と思われていますよね。しかし、実態は3世政治家で地盤を継ぎ、旧来通りの慣習であるバス旅行で地盤を固めている。カネの処理も不透明」(同)

 イメージばかりが先行する河野大臣だが、具(つぶさ)に観察すると見えてくるのは、それとはかけ離れた一面だ。我々国民は、ワクチン大臣の人気に決して踊らされない「免疫」が必要か。

週刊新潮 2021年6月10日号掲載

特集「これが『次代の総理』か “ワクチン敗軍の将”『河野太郎大臣』が『闇のバス旅行』でデタラメ政治資金」より

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