「アンジェラ芽衣」主演ドラマでギャラ未払い騒動 提訴されたプロデューサーの正体

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ロケ弁はコンビニ弁当…杜撰すぎる現場

「元凶は、アイモーション社の取締役でもある太代眞裕というプロデューサーです。これまでも、彼の詐欺的な仕事によって、何人もの業界人が泣き寝入りしてきました」

 と憤るのは、被害者の会に名を連ねる男性スタッフである。訴状でも名指しで責任が言及されている太代氏とは、何者か。

「業界ではそこそこ知られたプロデューサーで、年齢は60代後半くらい。古くはスザンヌ主演の『いぬばか』(09年)や、風間俊介の『前橋ビジュアル系』(11年)、生瀬勝久と小西真奈美が出演した『スープ 生まれ変わりの物語』(12年)などの作品に参加してきました。最近では元AKB48の板野友美が主演した日中合作映画『徐福~永遠の命を探して~』(19年)でプロデューサーをしています。が、少なくとも直近で手がけた3作品で、スタッフのギャラ未払いが起きているのです」

 かくいうこの男性スタッフも、太代氏と何度か仕事をしてきたという。過去作の分をふくめ、ギャラは未払いだそうだ。

「かれこれ、160万円分くらいは払ってもらっていません。少しでも彼にお金を回し、これまでの未払いを埋めてほしいと思って『アキハバラ』にも参加したのですが、間違いでした。お金の話だけでなく、撮影の時点からめちゃくちゃで、嫌な予感はしていたのですが……」

 「アキハバラ」の撮影期間は、19年の9月1日から15日にかけて行われた。うち3日は休みだったというから、追加撮影を含めてわずか2週間ほどで、全8話の30分ドラマが作られたというのだ。

「私が太代プロデューサーから声をかけられたのは8月頃でした。が、撮影まであと一カ月を切っているというのに、助監督など撮影に必要なスタッフが揃っていない有様。いざ撮影が始まっても、ロケ地の下見もしていません。たとえば神社のシーンがあるのですが、これはアポなしで神社にお願いし、なんとか撮れたものです。本来は『制作部』という、プロデューサーの下で製作費を管理したり、ロケ弁当を手配する係がいるのですが、太代プロデューサーは『制作部』を用意しない。で、弁当は300円かそこらのコンビニ弁当で済ませるのです。出費をケチりたいのでしょう。太代プロデューサーの妻と娘も現場を手伝っていたのも、人件費を削りたかったのかもしれません」

 スタッフは「出演者の方々は特に大変だったと思います」とため息を漏らす。

「本来、本読み(台本読み)は撮影一か月前には行われるはずですが、なかなか台本が完成しないため、皆さんギリギリでセリフを覚えていました。スケジュールを管理するラインプロデューサーも不在で、撮影はグダグダ。前日の夜遅くにならないと次の日の予定が決まらないのです。てっぺん(深夜0時)まで撮って、その日の朝6時から撮影、なんてハードな日もありました。実際、さるベテランの出演者の方は、体調を崩し倒れてしまいましたから」

 なんとか撮影を終わらせたが、クランクアップから3カ月近くが経っても、なかなか完成したという連絡がこない。するとある日突然、太代プロデューサーはスタッフに「編集お願い」と言い出したという。

「編集を“丸投げ”ですよ。でも、とにかく配信までこぎつけないことにはお金が入らないわけです。スタッフは台本を元に憶測で編集し、なんとか間に合わせました。一部、音声が採れていないシーンもあり、冷や汗ものだったと聞いています……。その後、太代プロデューサーは行方をくらましてしまい、今どこにいるか分からないのです。メールやLINEでスタッフがせっつくと、『コロナの影響で会社の先行きが不透明で』などと言い訳し……もはや詐欺としかいいようがない手口です」

 作品の完成に至るまでがこんな有様なのだから、その後のソフト化や、ギャラなどの支払いが滞っているのもうなずける。

 太代プロデューサー本人および所属するアイモーション社に取材を申し込むも、回答は得られず。裁判は5月28日に第一回期日を迎えたが、被告側は形式的な答弁書を出しただけで、出廷しなかった。

デイリー新潮取材班

2021年5月31日掲載

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