名優「田村正和さん」を偲んで…「古畑任三郎」ファン必見「ベスト5」の作品を紹介

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 4月3日に俳優の田村正和さん(享年77)が亡くなったことが明らかになった。田村さんといえばドラマ、映画、舞台と数多くの作品があるが、最も人気があったのは「古畑任三郎」シリーズだろう。

 本作は田村さん演じる警視庁の刑事で警部補の古畑任三郎が、ゲスト演じる犯人による殺人トリックやアリバイ工作を明晰な頭脳と巧みな話術で看破し、完璧と思われた犯行の真相を解明していく1話完結の刑事ドラマだ。ミステリー的には「刑事コロンボ」でお馴染みの倒叙法という手法でストーリーが進行していく。犯人役を演じるゲスト俳優が毎回毎回豪華な点も話題となった。そこで今回は「古畑~」シリーズ全43エピソードの中から必見のベストエピソード5つをご紹介したい

 まずは第5位から。1999年4月6日に放送された「黒岩博士の恐怖」だ。遺体の肛門に犯行声明文とおぼしきおみくじが詰められるという猟奇的な連続殺人事件が発生した。だが、犯人像、動機、手口、目的、被害者の共通項の全てが不明で捜査はお手上げ状態に。そこで現場から離れていた古畑が捜査に駆り出される。何ら関連性のなさそうなこれらの事件の検死をすべて担当した監察医の黒岩健吾(緒形拳)に古畑は疑念を抱くのだが……。本作は第3シーズンに先駆けて放送されたスペシャル第4作。冒頭ではまるで別のドラマかと思うほど怪奇的なムードが漂っていて、ある意味異色作でもある。“猟奇的連続殺人”という今までの本作にはなかったトリッキーかつユニークなプロット、犯人の犯行や動機が伏せられたまま進行する構成、そして西園寺守(石井正則)や花田(八嶋智人)といった新キャラクターの投入など、様々な試みがなされた点も見逃せない。

 何よりも本来、警察側である監察医が犯人でそれを演じたのが大俳優・緒形拳という豪華さ。古畑と黒岩が繰り広げる緊張感あふれる駆け引きが見どころで、劇場版として公開しても遜色ない完成度を誇った傑作である。

 第4位は06年1月3日に放送された「古畑任三郎ファイナル」第1話の「今、甦る死」である。忌まわしい因縁がある鬼切村。そこで創業する堀部パンの社長が不慮の死を遂げたことで甥に当たる大吉(千葉哲也)が社長に就任し、副社長には弟である音弥(藤原竜也)が昇格することになった。だが、大吉は社長になった途端、工場の裏山を売却し、レジャーランドにする計画を発表。このリゾート開発に否定的だった音弥は大吉と対立することに。そんななか、音弥は恩師で郷土資料館館長の天馬恭介(石坂浩二)の頼みで資料を整理していると、1冊のノートを見つける。それは彼自身が小学生時代に書いた完全犯罪が主題の自由研究ノートであった……。

 本作は「古畑任三郎ファイナル」と題された最終3部作の第1話。映画「金田一耕助」シリーズに主演した石坂浩二と当時、実力派の若手俳優として注目されていた藤原竜也をゲストに迎え、金田一シリーズ風の設定に三谷流の伏線がいくつも張り巡らされた複雑な構成のミステリーに仕上がっている。

 注目はシリーズで唯一、真犯人が伏せられていた点だろう。倒叙を逆手にとった叙述トリックが使用されている。途中までは完全に古畑VS藤原という構図だっただけに終盤にかけてのまさかまさかの展開に驚愕させられた。若き日の藤原竜也の鬼気迫る演技は必見だ。

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