ダルビッシュ有、田中将大に前田健太…トッププロの「YouTube」がアマ球界に与える影響

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有効活用するように指導すべき

 球団と選手間の契約が関係している可能性もあるが、それは非常に惜しいことではないか。選手が発信しづらい理由には、日本では「そんな暇が合ったら練習すべき」という意見が、いまだに根強いこともある。もちろん、YouTuberのように、それで生計を立てているわけではないが、選手にとっても自分の練習や考え方をアウトプットすることで、頭の中が整理され、より技術的な面が定着することに寄与する面もあるはずだ。

 また、選手自身が発信することに対しては、アマチュア球界でも否定的なチームは少なくない。いわゆる強豪校の野球部ではSNSの利用禁止、もしくは見るだけの利用に制限しているケースは多い。精神的に幼い高校生が不適切な発信をすることを止めたいという意図から来ているルールだと思われるが、現代社会においてネットの情報を遮断するようなやり方は、選手の将来を考えても望ましくないように感じる。利用することのメリット、デメリットをきちんと伝えたうえで、有効活用するように指導すべきではないだろうか。

 ここ数年、神奈川県大会で準々決勝に進出するなど力をつけている立花学園はSNSなどを活用し、選手の記録や日々の活動、チームの取り組みなどを積極的に発信している。今年のチームには永島田輝斗という最速150キロを誇る投手も在籍しているが、そんなプロ注目の投手が出現してきたことと、チームの先進的な取り組みは決して無関係ではないだろう。

 情報が格段に増えたことで起こる問題も少なくないが、それを生かしてレベルアップする方法も多いはずである。そういう意味でも、今回紹介したような発信力のあるプロ選手が増えていくことに期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月22日掲載

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