ダルビッシュ有、田中将大に前田健太…トッププロの「YouTube」がアマ球界に与える影響

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現役選手でオピニオンリーダー

 8年ぶりにメジャーリーグから古巣の楽天に復帰した田中将大。4月24日、本拠地仙台で西武戦に先発登板し、6回1失点の好投でNPB通算100勝を飾ったが、5月15日のオリックス戦では6回に逆転スリーランを打たれ、敗戦投手に。2勝3敗と黒星が先行したが、今後の巻き返しが期待される。

 田中といえば、開幕前にクローズアップされた出来事があった。復帰が発表されるタイミングで、YouTubeチャンネル「マー君チャンネル 田中将大」を開設すると、復帰会見がライブで配信され、38万回以上も再生されるなど、大きな話題となった。一方、田中と同学年の前田健太(ツインズ)は「マエケン チャンネル KENTA MAEDA」を昨年2月に開設。こちらもチャンネル登録数は約34万人(5月21日現在)に達している。

 このような発信の“先駆け的存在”と言えるのが、ダルビッシュ有(パドレス)だ。YouTubeで配信をスタートしたのは2017年で、チャンネル登録数は約57万8000人(同)にのぼる。また、10年以上前の10年3月からTwitterにもアカウントを登録しており、そのフォロワー数は約255万人(同)に及ぶ。昨年末にパドレスへの移籍が報じられた際には「自分のトレードが確定したみたいな情報が有力な筋から出てきだしたけど、自分の携帯は鳴りません。どういったシステムなんでしょうか?」とツイートし、反響を呼んだ。

 このほか、ダルビッシュは祖父江大輔(中日)の契約更改や藤浪晋太郎(阪神)とのキャッチボールなど、あらゆる球界の話題について言及し、その内容が各種媒体のニュースに取り上げられている。現役選手でありながら、既にオピニオンリーダーとしての地位を確立している。

選手や指導者に大きなプラス

 このように、トッププロが直接発信することは、野球界全体に好影響を与えている。ダルビッシュは、YouTubeで自主トレ中のピッチング練習を公開し、ボールの回転数や変化の軌道などの数値を見せながら、解説していた。

 以前であれば、こうした情報は限られた内部の関係者しか触れることができなかったものだ。ボールを投げる時の感覚は、それぞれ選手によって当然異なるが、それを言葉だけでなく、実際の映像とデータとともに誰しもが見ることができる。これは選手や指導者にとって、大きなプラスであることは間違いない。

 14年春に伊藤優輔(現巨人)を擁して21世紀枠で甲子園に出場した都立小山台では、プロ選手のプレーする映像を加工したものを参考にしながら選手の技術向上につなげている。こうした努力もあり、18年からは2年連続で夏の東東京大会決勝に進出している。トッププロが発信する映像やデータが増えれば、こうした取り組みはさらに加速していくだろう。

 ただ、YouTubeチャンネルを開設している田中、前田、ダルビッシュは全員メジャーでのプレー経験がある選手であり、ずっと日本でプレーする多くの選手は、今のところTwitterなどにとどまっている。

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