「中国版プデュ」で起きた牛乳大量廃棄事件 当局が激怒で「オーディション番組」が放送中止

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 韓国発の「アイドルオーディション番組」がアジア各地で人気を集め、中国でも2018年頃からブームが続いている。ところが最近は、ファンの悪質な行為のせいで番組が急きょ放送休止となる事態も起きていて……。

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「ミルク廃棄動画」

 問題の番組は、今年1月からシーズン3が始まった「青春有你(Youth With You)3」。今月4日、最終回を目前にして中国政府当局から突如、収録中止を命じられた。その原因のひとつとされているのが、動画サイト「抖音(TikTok)」に投稿された「ミルク廃棄動画」である。

 10秒ほどのその動画は、バケツいっぱいの牛乳を排水溝に流す様子から始まる。排水溝の周りには15人ほどの男女が座り、黙々と牛乳パックを開封している。辺りには牛乳パックのゴミが散乱しており、排水溝は真っ白に染まっている。

「捨てられているのは、中国の代表的な乳業会社のひとつで、『青春有你3』のスポンサー企業である蒙牛の牛乳『真果粒』です。この商品の蓋の内側にあるQRコードが、『青春有你3』の投票券になっているのです。番組では“牛乳を買って投票しよう”と呼びかけており、投票券欲しさに牛乳を大量購入するファンが出現。用済みとなった牛乳が捨てられたというわけです」(中国事情に詳しいライター)

視聴者参加型オーディション

 人気絶頂の「オーディション番組」とは、いかなるものか。数多あるアイドルオーディション番組の中でもトップクラスの人気を誇るのが、2016年に韓国で放送が開始された通称「プデュ」と呼ばれる「PRODUCE 101」シリーズである。シーズン3の「PRODUCE 48」からは、日本人メンバー3人を含むIZ*ONE(アイズワン)が誕生。今年4月末までの期間限定グループだったが、解散を惜しむファンが韓国国内でデモなどの抗議活動を行うほど熱狂的な人気を集めた。番組のパッケージは日本にも輸入され、2019年に放送された「PRODUCE 101 JAPAN」からは11人組のアイドルグループJO1(ジェイオーワン)が誕生し、現在はシーズン2が放送中である。

 人気の理由は、視聴者が投票でデビューメンバーを決められることにある。番組開始時に100人ほどいる「練習生」と呼ばれる参加者は、ファンの投票によって選抜され、人気のない練習生は次々に脱落していく。同じくオーディション番組から生まれたアイドルといえばNiziU(ニジュー)がいるが、こちらはプロデューサーのJ.Y. Park(パク・ジニョン)やトレーナーが審査し、デビューメンバーを決定した。視聴者参加型の「PRODUCE 101」シリーズとは選抜方式が全く違うのだ。

 2018年頃から中国でも「PRODUCE 101」形式のオーディション番組が人気を集めた。例えば、4月24日に最終回を迎えた「創造営2021」は、全10話にわたって配信され、番組の総視聴回数は50億回を突破。日本人3人を含むデビューメンバー11人は、既に20以上のブランドとの広告契約が決まっている。

 視聴者は基本的に1日1回、応援したい練習生に投票ができる。番組は、トレーナーから厳しい指導を受け、ひたむきに技術を磨く練習生の姿を追い、それを見た視聴者は毎日コツコツと投票を続ける。お気に入りの子の脱落を防ぐためにファンがクラウドファンディングで資金を集め、駅などに広告を出稿して“布教”することもある。そんな折、今回の「ミルク廃棄動画」騒動が起きた。

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