佐々木朗希、デビュー戦全投球を徹底分析…見えた“克服すべき課題”は

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 5月16日の西武戦で一軍デビューを果たした“令和の怪物”佐々木朗希(ロッテ)。結果から先に書くと5回を投げて4失点(自責点2)で、試合は引き分けに終わり、佐々木には勝ちも負けもつかなかった。全体的には、可もなく不可もなくという内容と言えるが、改めてその素質の大きさとまた克服すべき課題が見えたことは確かだ。そんな佐々木の初登板をあらゆる数字から分析してみたい。

際立つストレートの質

【ストレートのスピード】
最高球速:154キロ 最低球速:147キロ 平均:151.3キロ

 佐々木の大きな魅力はやはりそのスピードである。高校時代にはU18侍ジャパン代表候補合宿で163キロ、公式戦では3年夏の岩手大会で160キロもマークしている。プロ入り後の実戦ではまだ160キロを超えたことはなく、この日も最速は154キロにとどまったが、驚かされたのがそのアベレージの高さだ。

 この試合で佐々木は71球のストレートを投じているが、150キロ未満のボールはわずかに6球。平均球速でも151キロを上回っている。時には力を入れる場面もあったものの全体的には制球を重視した腕の振りに見え、それでもこれだけの数字を叩き出すというのはやはり並の投手ではない。スピードに関しては既に一軍でもトップレベルであることは間違いないだろう。

【ストレートの結果、トータル71球】
空振り:8 見逃し:15 ファウル:16 ボール:23 ヒット:2 凡打(エラー含む):7

 どれだけスピードがあってもストライクが入らなくては意味がない。また、スピードガンの数字が速くても、タイミングをとりやすく見やすいボールということもある。そのような点からストレートのコントロールと質についても見てみた。

 まず、コントロールだが、71球のストレートのうちボールとなったのは23球。ヒットや凡打になったものも含めて約7割はストライクゾーンに投げ込むことができていることになる。中にはワンバウンドになるボールもあったが、大きく外れるボールや逆球はそれほど目立たず、ストレートのコントロールに関しては大きな問題はないと言えるだろう。

 また、ストレートが決め球となった三振は1個だけだったが、投じた71球の10%を超える8個の空振りを奪っている。完璧にとらえられたのは、立ち上がりの若林楽人のレフト前ヒットと、3回の源田壮亮のタイムリースリーベースだけであり、この点を見てもストレートの質の面での高さは際立っていると言えるだろう。

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