鉄道の華「鉄橋」トリビア 全国最長は? 路線全体に占める割合は? 「偉い人」が決めた名は?

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実際にはコンクリート製の橋も多い

 鉄橋は鉄道の華だ。遠足の子どもたちは列車が鉄橋を渡るごとに歓声を上げる。もう一つの鉄道の華はトンネルであるが、こちらは列車が暗闇の中を走るので、あまりに長かったり多かったりすると飽きてしまう。その点鉄橋であれば川や湖、ときには海、さらには道路や他の列車が通る線路などを見下ろしながら越えていくので、いつ通っても気分が晴れる。そんな鉄橋に関するトリビアをお届けする。

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 普段何気なく鉄橋と呼んでいるけれども、正確な意味は何だろうか。一般には「鉄の橋」と考えられていてもちろん間違いではないのだが、実際にはコンクリート製の橋も多い。

 もっとも、橋はコンクリートだけでつくられているのではなく、内側に鉄筋が張りめぐらされているので、鉄を用いたという意味で鉄橋だと言える。

 辞書のなかには鉄道橋を指すと示されているものも多い。鉄道橋を縮めて鉄橋というのもなるほど理解しやすい考え方だ。

 鉄道の世界では鉄橋は橋梁(きょうりょう)という。

「梁」の字が常用漢字ではないために法規では「橋りょう」と書かれる。という次第で鉄橋も鉄道橋も正式な言い方ではない。

 橋梁は2019(平成31)年3月31日現在で全国に14万812カ所に架けられ、延長は4265.8kmにも達する。平均すると橋梁1カ所当たりの長さは約30mだ。

 前回の踏切のときにも示したように、2019年3月31日の時点で営業を行っていた鉄道路線の延長は2万7894.9kmであった。

 したがって、橋梁は平均して鉄道路線198mにつき1カ所の頻度で現れ、鉄道路線全体に占める橋梁の割合は15.3%と結構多い。

 先ほど鉄道の華の一つと述べたトンネルは全国に4925カ所設けられ、延長は3963.0kmであった。数で比べれば橋梁はトンネルを圧倒しており、延長でも相当な差を付けている。

有名な石の橋とは

 橋梁のうち、橋桁がコンクリート製のものは8万7999カ所架けられ、延長は3013.8kmに達する。

 いっぽう、見た目が鉄橋そのものとなる橋桁が鋼鉄製の橋梁は4万1764カ所、延長は847.5kmだ。

 残るはその他に分類されていて、全国に1万1049カ所にあり、延長は404.4404.5kmであった。

 鉄道用に限らず、橋梁の世界では鋼鉄製やコンクリート製以外の橋桁の素材はというと、一般に木や石を指す。

 とはいえ、今日の鉄道の法規では木製の橋桁を用いてはならないと定められているので、となるとその他の橋梁の多くは石の橋だ。

 数は少なく、延長も短いのでとても珍しい存在ではあるのだが、その割には大変目立つ場所に築かれていて、見たことがあるという人が多いかもしれないと思われる橋がある。

 その石の橋とは、JR東日本東海道線の東京駅と浜松町駅付近との間の約2kmにわたって山手線、京浜東北線の電車が行き交う線路を支える東京高架橋である。

 この高架橋の橋桁はアーチ状に積み上げられたレンガ造りで、橋桁と一体となっているかのように見える橋脚もやはりレンガ造りだ。

 いまから111年前の1910(明治43)年に完成した東京高架橋は、山手線と京浜東北線とを合わせて1日に約800本の電車が通過する大変過酷な環境のなか、今日でも問題なく用いられている。

 さすがに耐震性については最新の基準には合致していないので、近年になって補強工事が施された。

 橋梁の話というと橋桁のつくりを説明するのが常である。

 たとえば、鋼橋では鋼材を連続する三角形に組み立てたトラス橋だとか、コンクリート橋であれば橋桁と橋脚とを一体化させたラーメン橋だとかという具合にだ。

 こうした話は大切だが、鉄道の橋梁の場合、何の上に架けられているのかで橋梁の呼び名が異なる点を説明するほうが重要だと筆者は考える。

 というのも、橋桁や橋脚には橋梁の呼び名が記されているので、知識があればどのような橋梁か、そして何を越えているかが一目でわかるからだ。

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