コロナ特効薬「カモスタット」とは 早ければ5月に治験終了、実際に使用した患者の声は
ドイツの研究チームが有効性を発表
ワクチン接種が遅々として進まない日本。そんな中、特効薬として注目を集めているのが、慢性すい炎の治療薬であるカモスタットだ。
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新型コロナワクチンについて、16歳以上の対象者がすべて9月末までに接種し終わるというのが本当なら、朗報である。厚労省も、5月半ばには全医療従事者の接種を終えると豪語した以上、ぜひ実現していただきたい。
だが、かねてから懸念されているように、ワクチンだけに寄りかかったコロナ対策は危うい。その危うさは、日本のワクチン敗戦が明らかになるにつれ、顕在化している。頼れる治療薬が今こそ求められているが、その4番打者候補の一つと目されているのが、慢性すい炎の薬カモスタット、商品名フォイパンである。
昨年3月上旬、ドイツ霊長類センターなどの研究班が、新型コロナへの有効性を発表して以来、注目され続けているこの薬について、元近畿大学薬学部教授の松山賢治氏が解説する。
「ワクチンには、新型コロナウイルス表面のSタンパクが、細胞の受容体ACE2と結合するのを妨げる効果があります。一方、カモスタットは、SタンパクとACE2が結合した次のステップで、ウイルスがゲノムを細胞に注入する際、タンパク質分解酵素プロテアーゼが、Sタンパクを切断(加水分解)するのを阻害する効果が期待されています。ワクチンの場合、E484Kの変異を持つ免疫逃避ウイルスに対しては、効果が落ちるという指摘もあります。しかし、カモスタットはプロテアーゼを阻害するので、Sタンパクに変異が起きても効果が落ちないと考えられ、その点がすぐれています。今後、ワクチンの効果が明らかに落ちる超変異ウイルスが登場しても、予防効果、治療効果を期待できます」
また、松山氏はもう一つ、つけ加える。
「もともとすい炎のための、DIC(播種(はしゅ)性血管内血液凝固症候群)という微小血栓を抑える薬に由来し、血液凝固を阻害して血栓を形成しづらくする効果も期待されます」
早ければ5月中に臨床試験の結果が
これは決して珍しい薬ではない。東京都医師会の角田徹副会長は、
「私は消化器内科が専門で、外来ではすい炎や逆流性食道炎の患者さんにフォイパンを処方する機会が多い」
と言って、続ける。
「使い慣れた薬で、アレルギーなどの副作用が出る恐れはありますが、そのリスクもほとんどないと言っていい。それに、フォイパンは内服薬です。変異株の拡大で、自宅療養や宿泊療養の患者さんが増えてくる可能性もありますが、そういった患者さんが早い時期から服用しておくことで重症化を防ぐ、という効果も期待できます。臨床試験の結果が出て認められたら、厚労省にはすみやかに承認していただきたいです」
松山氏によれば、
「小野薬品工業が治験を進めており、昨年11月から110人を対象に第3相臨床試験に入っています。早ければ5月中にも結果が出るのではないでしょうか」
とのこと。それを受けて角田氏が言う。
「昨年6月に第1相の臨床試験が始まって以降、東京都医師会としては担当理事が小野薬品工業からヒアリングを行っています。製薬会社は資金が豊富で、治験にも慣れている。結果が出ればすみやかに認可申請を出せるので、スムーズに事が運ぶかもしれません」
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