「ジャニーズ」と「日テレ」蜜月の原点 異例のトップ会談で決まった“櫻井人事”
「ジャニーズ事務所と関係が一番良いテレビ局は日本テレビ」とよく言われる。ネット上には「癒着」という不穏な表現すらある。確かに櫻井翔(39)は「news zero」のキャスターを務め、4月期ドラマ「ネメシス」に主演。相葉雅紀(38)は「I LOVE みんなのどうぶつ園」の司会を務める。両社の実際の関係はどうなのだろう。また、同事務所のテレビ戦略とは?
***
速報有働由美子が「ミヤネ」に引導を渡すことになるのか 新番組「有働Times」でテレ朝が仕掛けた“奇策”とは
嵐の活動休止から4カ月余。リーダー・大野智(40)は仕事を休んでいるものの、ほかの4人は活動を続け、相変わらずの人気。どのテレビ局も彼らの出演を渇望している。
けれど、どの局にも均等に出演するというのは難しい。4人の体は1つしかない。今、メンバーの出演が一番目立つのは日テレだ。
櫻井翔は「news zero」(月~木曜午後11時、金曜同11時30分)のキャスターを務め、4月期ドラマ「ネメシス」(日曜午後10時30分)に広瀬すず(22)とダブル主演中。さらに昨年末に終了した「嵐にしやがれ」(土曜午後9時)の後続番組「1億3000万人のSHOWチャンネル」(同)の司会も務めている。
相葉雅紀も昨年9月に終わった「天才!志村どうぶつ園」(土曜午後7時)の後続番組「I LOVE みんなのどうぶつ園」(同)の司会をしている。二宮和也(37)が司会のバラエティー「ニノさん」(日曜午前10時25分)は開始から8年が過ぎた。
3人は他局にも出演する。無論、ほかの所属タレントもそう。けれど毎年8月の「24時間テレビ」はジャニーズ勢が前面に出ることもあって、嵐のみならず、全体的に両社の関係は蜜月に映る。
事実、日テレとジャニーズ事務所の関係が各局の中で一番良好なのは間違いない。他局も認める。「癒着」は言い過ぎだろうが、他局が羨む関係ではある。この関係が始まってから20年ほどになる。
当時、日テレの絶対的権力者だった故・氏家齋一郞会長が、ジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長(94、現名誉会長)と会食したのが始まりだった。
メリーさんの自宅マンションで会食
渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆(94)の盟友で、同新聞経済部出身の氏家氏は、芸能界に関心がなかった。芸能プロダクションの経営陣と会ったこともなかった。
一方、当時のジャニーズ事務所は現場を社長の故・ジャニー喜多川さんが担当し、経営全般をメリーさんが手掛けていたのは知られている通り。各局トップとの交渉役でもあった。ジャニーさんが天才なら、メリーさんは剛腕で通っていた。
片や氏家氏もフジテレビから視聴率トップの座を奪ったり、政府・自民党から畏怖されていたりした。こちらも剛腕だった。
2人の会食は東京・港区内にあるメリーさんの自宅マンションで行われた。メリーさんが手料理を振る舞ったわけではない。外部の一流シェフが招かれた。いつもそうなのだという。メリーさんの自宅に訪れたことのある人によると、そのダイニングキッチンは高級レストランと見紛うほどだそうだ。
メリーさんとの会食を終えた氏家氏は「彼女は大したものだ」と感服していたという。大臣経験者の政治家すら子供扱いすることもあった氏家氏が、メリーさんのことは大いに買った。以後、氏家氏とメリーさんは定期的に会い、意見交換するようになる。同じ1926(昭和元)年生まれで気もあったようだ。
その中で出たのが櫻井翔の「news zero」のキャスター就任の話。氏家氏のほうから「先々のことを考えると、いろいろ勉強したほうがいい」と言い、櫻井は2006年10月からキャスターに就いた。氏家氏とメリーさんによる異例のトップ会談で決まった“人事”だった。
「24時間テレビ」でジャニーズ事務所勢が連続してメイン
パーソナリティーを務めるようになったのも氏家氏とメリーさんが昵懇の関係になった後の2003年から。それまでにも1995年にSMAPが番組パーソナリティーを務めたことなどがあったが、節目は2003年だった。
以後、パーソナリティーとなったのはTOKIO、嵐、タッキー&翼、NEWS、関ジャニ∞、V6…。「24時間テレビ」は日テレとジャニーズ事務所の共催と呼べる状態に。これだけの面々を他局が毎年出せるかというと、おそらく無理だろう。
「24時間テレビ」のメーン会場は基本的には日本武道館(東京・北の丸)。フィナーレの時には氏家氏とメリーさんの並んだ姿があった。2人とも黄色いチャリティーTシャツを着ていた。