「マスク拒否男」実父が明かす“奇行”の理由 エリート街道から一転…「当分は援助する」

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 たかがマスク、されどマスクである。今度は千葉県の大衆食堂でひと悶着を起こした「東大大学院満期退学男」は、なぜこれほど「ノーマスク」にこだわるのか。嘆く実父に尋ねると……。

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 昨年9月にピーチ・アビエーションの飛行機内でマスク着用を拒否して逮捕された元明治学院大非常勤職員の奥野淳也容疑者(34)が、今度は千葉県館山市に現れた。今月10日、市内の食堂でまたしてもマスクを着けないと大騒ぎしたのだ。

「マスク未着用で食堂にふらりと入った奥野容疑者は、勝手にビールを注ぐなどしていました。店員がマスクを着けてほしいとお願いすると、“俺はマスクをしねえ!”と暴れ出し、止めようとした他の客らと揉み合いとなったのです」(社会部記者)

 目撃者が110番すると、駆けつけた警察官に対し「お前が違法捜査だ!」と叫んだ挙句、顔を殴ったとして、公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕された。

 この食堂の店主が言う。

「事件が起きて以降、ずっとお店を休んでいました。容疑者に応対したのはウチの50代の女性従業員だったのですが、精神的にダメージを受けてしまい、“まだお店に行くのが怖い”と話しています」

 かような常軌を逸した言動とは裏腹に、奥野容疑者は「エリート街道」をひた走ってきた。

 奥野容疑者は大阪府内に住む公務員の父の長男として生まれた。父は実家周辺の地主で裕福な家だったという。京都の名門校、洛星高校を卒業後、東京大学法学部に現役で合格。2009年には、東大大学院法学政治学研究科に進学した。

 大阪の実父に訊くと、

「東大法学部に現役で受かった時は、よく勉強したなあとほめてやりたいと思いましたね。4年で卒業して、就職するなり、官僚になってくれたりするもんだと思っていたんやけど、大学院にまで進みだして。進学したのは、結果論というか、本人が“行く”言うだけやった」

「援助せにゃ…」

 2度目の逮捕となり、戸惑う実父が続ける。

「大学院で何を勉強していたかわからんけど、博士課程で論文が通らなかったのかな。それでだんだんと“あんなふう”になってしまって……」

 かつて本人は、マスクを着けないのは「健康上の理由」と説明していた。あるいは、博士号を取得できぬまま満期退学したことが心の疵(きず)となったのか。その後は、明治学院大学の非常勤講師の仕事をするも、あの機内騒動後に契約解除となってしまう。

「今後、息子がどうするかわからん。仕事はせんといけんけど、努力してできないなら当分は援助せにゃ仕方ないやろね。(マスクを着けないことに)世の中、ちょっとヒステリックになっているんちゃうかな」(同)

「申し訳ない」と言いながらも、終始息子をかばう父。精神科医の片田珠美氏はこう分析する。

「奥野容疑者は東大を出ているのに、正当に評価されていないという欲求不満と自身の境遇への憤りがあったのでしょう。しばしば癇癪を起こし、怒りを抑えられないのは、『反抗挑発症』という感情をコントロールできない衝動制御障害です。強い特権意識と過去の成功体験から自分は正しいと思い込んでいるので、今後も同様のことでトラブルを起こす可能性は高いです」

 神出鬼没。マスク拒否男を見かけたらご用心、では済まないか――。

週刊新潮 2021年4月29日号掲載

ワイド特集「春の珍事」より

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