小室さんの理詰め文書の疑問点 弁護士が理詰めで指摘する

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 4月8日に小室圭さんが公表した文書はもちろん、法曹界でも話題となっている。理詰めで整えられた文書はよく出来たようにも映るが、論理的な法的文書としては疑問点も感じられたという。日比谷パーク法律事務所のパートナー弁護士を務める小川尚史氏による論考をお届けする。

1.はじめに

 既に多く指摘されているとおり、小室氏が2021年4月8日に公表した文書(「2021年文書」)は訴訟において裁判官を説得するために提出する法的文書のような構成及び内容となっている。

 ここでいう法的文書とは、相手方や社会一般を説得したり納得させたりすることではなく、裁判官に自らの主張を伝え、自らに有利な法的結論を導くことを目的として、論理的に(理詰めで)作成されたものである。

 そして、様々な意見があるだろうが、筆者は、「2021年文書」は法的文書としてはよく出来た文書であると感じた。

 しかし、論理性という観点からみて疑問を感じた部分があり、本稿ではその点を指摘したい。

 すなわち、理詰めの文書に対して理詰めで疑問点を指摘するものである。

2.「『解決済みの事柄である』と主張していると理解するのは『誤解』である」というのは無理のある主張である

「2021年文書」において小室氏が強く主張していた事柄の中に、「私が平成31年(2019年)の文書で、金銭に関することは「解決済みの事柄である」と主張していると誤解されている方がいらっしゃいますが、それは誤りです」というものがある。

 小室氏が2019年1月22日に公表した文書(「2019年文書」)には以下のような記載があった。

〈このような経緯ですから母も私も元婚約者の方からの支援については解決済みの事柄であると理解してまいりました。〉

 このため、多くのメディアは「小室氏は解決済みであると主張している」と報じたのであるが、これを誤解と主張するものである。

相当に無理のある主張

 これが誤解であるという小室氏の主張の論理は以下のようなものである。

 つまり、「私と母が『解決済みの事柄である』と理解してきたのは、平成29年(2017年)12月以降に金銭トラブルと言われている事柄が週刊誌で数多く取り上げられたことで、元婚約者の方との間に認識の食い違いがありそうだと考えるようになった時点までのこと」である。

 したがって、「解決済みの事柄であると理解してまいりました」という表現も、当該時点までの認識を述べたものである。平たくいえば、「解決済み」という認識は過去のものであり、2019年文書の公表時点での認識ではない(その時点では異なる認識となっていた)という理屈である。

 しかし、これは相当に無理のある主張である。「2019年文書」をあらためてみると、当該文書の公表時点においても小室氏が「解決済みの事柄である」と認識し、そのように主張しているとしか理解できない。その根拠は以下のとおりである。

(1)「2019年文書」の別の箇所でも「解決済み」と述べられている

 まず、第一に、「2019年文書」では、平成24年9月当時の小室氏の母親とその元婚約者との婚約解消に関するやりとりを説明する箇所において、以下のとおり述べられている。

〈支援や慰謝料の点を含めて金銭的な問題はすべて解決済みであることを二人は確認したのです。〉

 事実経過の説明において明確に「解決済みであることを確認した」と述べられていれば、これは2019年文書作成時点での小室氏の認識であり、かつ主張であると理解するのが当然である。

(2)「借金トラブルが残っているとされてい」るという現状を否定する文脈で述べられている

 また、第二に、「2021年文書」で小室氏が誤解を招いたと指摘する「解決済みの事柄であると理解してまいりました」という表現についても、文章を全体として見ると、小室氏の主張するように過去の一時点までの認識を述べたものとは理解しようがない。

「2019年文書」には、以下のとおり記載されている。

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