流行中の「リモート旅行」とは? ガイドが現地から生配信、人気の秘訣は

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 海外旅行に行けず悶々としている人も多かろうが、自宅にいながら観光を楽しめる“リモートツアー”がウケに入(い)っているという。

 業界紙記者の話。

「大手旅行会社のHISが昨年4月から販売しているオンライン体験ツアーは、今年2月までに体験者総数が5万人に達しています」

 一体どんなものなのか。海外の名所旧跡をオンライン、つまりネットで眺めるだけかと思ったら大違い。

「双方向動画通信システムのZoomを使い、世界各地の様子を生ライブで配信するのです」

 とはHIS広報事務局。具体的な例をとって解説してもらうと、

「人気1位は『世界5都市同時中継!世界一周ライブツアー~ハワイ→ケニア→インド→トルコ→ラスベガス/ケアンズ』です。これはHISの商品中で人気の旅行先5都市を、現地のガイドさんが十数分ずつ生配信のリレー形式で中継しながら日本語で紹介するもの。トータル時間は90分。日本時間の昼1時にスタートしますが、ハワイのワイキキは雰囲気のある夕暮れ時、ケニアはちょうど早朝で、ガイドさんがカメラを手にサファリを車で回って“キリンがいます”などとレポートしてくれる。ラスベガスは夜で、美しくライトアップされる時間帯です」

 ガイドとの交流も人気の秘密なのだという。

「ツアー中にチャット機能で質問できるのですが、それにガイドさんが応答する。このやりとりが意外と盛り上がるんです」

 インドのタージマハルのツアーでは、たまたまインドの王族が来訪したせいで締め出され、他所を回るハメになったり……。こうした旅行に付きものの“トラブル”も味わえるとか。価格も3千円ほどあれば参加できるツアーが多く、

「時間は60分から90分と手軽に楽しめるのが強み。参加者は旅行好きの女性で30代から50代の方が多いです」

 いわゆるツアーだけでなく、通訳を介してインドの有名占い師に手相を見てもらえる「オンライン占い」なんてのも。これは総合2位の人気である。

 ところで、コロナ禍の終息後もこのツアーは続く?

「もちろん体験者の数は減っていくだろうとは思います。ただHISとしては、このオンラインツアーが新たに根付いてきていることもあり、今後は旅行の下見に使っていただけるのではと考えています」

 現在、72の国と地域で累計3500以上ものコースが催行されているという。

週刊新潮 2021年4月8日号掲載

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