中国の香港弾圧に日本政府も自民党も及び腰、毅然とした態度は「日本共産党」だけの皮肉

国際 中国 2021年4月5日掲載

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姿を消した民主派リーダーたち

 判決が読み上げられている間、周庭(アグネス・チョウ)氏は泣き出し、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は廷吏に連行されながら「大変な日々が待ち受けているが、自分たちはがんばる」と叫んだという。

 中国では昨年12月2日、日本でもよく知られる香港の民主活動家・黄氏や周氏、林朗彦(アイバン・ラム)氏が、公安条例違反の罪で実刑判決を受けた。さらに、今年1月6日には50人以上の活動家が香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で香港警察に逮捕されている。2月28日には、そのうちの47人が起訴され、香港で活躍する著名な民主派のリーダーたちは、窮地に追い込まれた。

 しかし、2047年までの一国二制度を保障した香港基本法に違反する中国に、日本はアメリカをはじめとする諸外国の動向をうかがいつつコメントを出すだけで、毅然とした態度を示すことはほとんどない。

 香港のみならず、ウイグル族などの少数民族にも人権弾圧を強める中国に、日本はどう向き合えばいいのか――。『香港 あなたはどこへむかうのか』(出版舎ジグ)、『貧者を食らう国 中国格差社会からの警告』(新潮選書)の著者でもある東京大学大学院総合文化研究科の阿古智子教授(現代中国研究)に聞いた。

全人代のために行われた“マラソン裁判”

 日本で阿古教授がしばしば学業や生活の相談に乗っていたという、前香港立法会議員で、東京大学公共政策大学院在籍中の區諾軒(アウ・ノックヒン)氏も1月に国安法違反容疑で収監された。3月23日には、国安法違反とは別の「警官襲撃罪」によって、9週間の懲役という判決が下された。區氏の「罪」とは、デモと警官隊の仲裁をしていた際に使用した拡声器で警官の耳を傷めたことだという。下級審では140時間の社会奉仕活動が命じられていたが、検察側が控訴し、刑が軽すぎると判決が見直されたのだ。判決後、彼は傍聴席の支援者に向かって、「落胆しないように」と声をかけた。

「區さんはこれまでに4度逮捕されています。初めは私も、彼がどのような思いで活動を続けてきたのか、何を目指していたのか、詳細に伝えたいと考えていましたが、中国では権力者が法を都合の良い道具として使うので、国が民主派への抑圧を強める中、弁護士すら裁判がどのように進むのかわからないと言います。區さん自身が裁判の様子や収監の状況、自分の主張を発信したり、私のような海外の知人が活動を紹介したりすれば、より重い量刑が科されてしまうかもしれません。今はご家族の意向も受け、情報はなるべく発信しないようにしています。

 2月に民主派の47人が起訴されたときには、3月5日に開催される全人代(全国人民代表大会、日本の国会にあたる)までに判決を下そうと、顔を洗うことも許さず、服も着替えさせないような“マラソン裁判”が行われていました。朝から晩まで休ませず、気を失って病院に運ばれる人もいたほどでしたが、それは民主活動家に過酷な裁判を受けさせているという香港政府の中国へのアピールです。元議員や弁護士といった社会的地位が高い人たちに汚い囚人服を着せ、手錠で数珠つなぎにして収監し、一般の人たちにメディアを通して、こうなるんだぞという見せしめを行っていました。

 現在、香港では『香港独立』といった旗を掲げたり、デモ活動のテーマ曲のようになっていた『香港に栄光あれ』を歌ったりするだけで、国安法違反で逮捕されてしまいます。コロナの給付金や社会的弱者への支援を要求するような2~3人の少人数でのデモにも、すぐに警官が飛んできて、IDをチェックしカメラで行動を撮影しています。人々は、普通に政策批判をする活動でも、国安法違反とみなされるかもしれないと恐れを抱いています。

 教育現場では政権批判ととられる教材や書籍が排除され、生徒同士、教員同士が監視し合っているどころか、生徒や生徒の親が教員を通報するような状況になっています」

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