【踏切トリビア】全国に幾つあるか、何mに1つか、近所から苦情が来る警報音など

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 鉄道の線路と道路とが同じ面で交差する場所を踏切という。踏切という言葉自体に悪い意味はないものの、「開かずの踏切」であるとか「危険な踏切」「魔の踏切」など、しばしば否定的なニュアンスで用いられる。そんな踏切のトリビアについて、鉄道ジャーナリストの梅原淳氏が解説する。

 国土交通省の「鉄道統計年報」によると、2019年3月31日現在で全国に3万3438カ所の踏切が設置されているという。

 同じ日に営業を行っていた鉄道路線の延長は2万7894.9kmであったから、踏切は平均して鉄道路線834mにつき1カ所の割合で現れる計算となる。

 案外多いと感じられるのではないだろうか。

 踏切は装備別に次の3つに分けられる。

 一つは警報機と遮断機とを設けた第1種で、数は3万0069カ所と圧倒的に多い。

 警報機、遮断機は正式には踏切警報機、踏切遮断機というが、少々くどいので、ここでは一般的な呼び名である「警報機」「遮断機」を用いることにしよう。

 残りは警報機だけを設けた第3種、それから警報機も遮断機もない第4種だ。

 前者は708カ所と少なく、後者は2661カ所とそこそこ多い。

 正確に言うと踏切にはもう一つ、第2種がある。

 係員が遮断機を開け閉めし、係員がいないときは遮断機は動かず、代わりに警報機が鳴るかまたは警報機も鳴らないものだ。

 1960年代ごろまでは多数存在したが、いまは1カ所もない。

 第4種の踏切を除くと全国の大多数の踏切には警報機が設けられている。

 警報機は基本的に列車が踏切に到達する35秒前に鳴り出す。

 駅に近い踏切では、列車が速度を落とすために35秒よりも前に警報機が鳴り始めるケースも見られる。

 だが、反対に35秒未満で列車が到達する踏切はまず存在しないと言ってよい。

警報音の基準、80デシベルとは?

 警報機には赤色の閃光灯が2灯以上付いていて、交互に点滅する。

 点滅回数は1分当たり40回から60回までで、45m以上手前から見えなくてはならない。

 なお、道路が狭いなどといった理由で踏切に近づく自動車の速度が時速35km以下となる場合は、閃光灯は22m以上手前から見えればよいと決められている。

 2灯の閃光灯の置き方は、柱をはさんで左右対称か、柱の片側に上下垂直かのどちらかだ。

 無駄な知識かもしれないが、左右対称の踏切警報機はA形、上下垂直のものはB形という。

 C形の警報機もあり、こらちは道路の上に掲げられたもので、オーバーハング形とも呼ばれる。

 警報機はカンカンなどと音を鳴らす。

 古くからあるのは警報機に内蔵された鐘を電気の力でたたいて音を出すもので、1分間に60回程度の音が鳴る。このタイプの警報機はめっきり少なくなり、特に大都市ではほとんど見ることができない。

 今日の主流は警報機に内蔵されたスピーカーから警報音を出すものだ。こちらは1分間に130回ほどの音が鳴る。

 鐘、スピーカーとも音量は警報音が鳴っているところから1m離れた場所で80デシベルを標準とする決まりだ。

 環境省によると、80デシベルとはゲームセンターの店内や航空機の機内に相当する音量だというから結構騒がしい。

 警報音には近隣の住民の苦情も多いそうで、具体的な音量は不明ながら遮断機が降りた後は音量を下げるように定められた。

 警報機が鳴り出すと同時に遮断機も作動する。

 遮断機が降りるまでの時間は、警報機が鳴り始めてから15秒を標準とするよう決められた。

 警報機自体は踏切に列車が到達する35秒前に鳴り出すのだから、遮断機が降りてから列車が踏切に到達するまでの時間は20秒だ。

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