有名チェーンの寿司に「発がん性着色料」が 2年前に発覚も改善されず

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 ステイホームの心強い味方と言えば、お持ち帰りできる食品であろう。出来合い品を買い、手間をかけることなく家で食べられる。そんな主婦の友の代表格は、「手間暇ゼロ」の寿司。しかし、便利なものには得てして落とし穴があり……。

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「一般的に、寿司というと魚と米と海苔などが使われるだけで、添加物が少ない食品というイメージがあるのではないでしょうか。特に着色料とは無関係という印象が強いと思います」

 と、食品評論家の小薮浩二郎氏が、まずは寿司の「安全イメージ」を説明する。実際、寿司は日本が世界に誇る健康食だと信じている方も多いに違いない。

 だが2年ほど前、本誌(「週刊新潮」)はそんな「寿司の常識」を一度疑ってみた。スーパーや駅ナカで売られている寿司にどれだけ添加物が使われているかを調べてみたのである。

 すると、「タール系着色料」が入った寿司が山ほど見つかったのだ。なかでも、それを使用した寿司が圧倒的に多かったのが、有名チェーン「寿司の美登利(以下、美登利)」のものだった。

 小薮氏が解説する。

「タール系着色料は、もともと繊維などの染料でしたが、次第に食品用の着色料としても使われるようになり、発がん性が取り沙汰されてきました。『添加物は体に悪い』という議論の中心的な存在がこのタール系着色料です。特に『黄色4号』と言われるものは、じんま疹の人が摂取すると過敏症が出ると指摘されています」

 また、「黄色5号」は子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)との関連性が指摘され、英国では事実上使用禁止になっている。

 さらに、「赤色106号」も米国やEUでの使用が認められていない。

 2年前の本誌調査では、いずれのタール系着色料も美登利の多数の寿司に使われていたことが確認されている。口に入れる食品に「有害物質」が……。多くの主婦から驚愕と不安の声が寄せられることになる。

「驚きました」

 とはいえ、人の噂も七十五日と言い、時が解決してくれる問題も多々ある。あれから2年近くが経過。さすがに、タール系着色料の使用状況は「改善」されているに違いない。そこで、都内のあるスーパーで売られている美登利の寿司を改めて調べてみたところ……。

 掲載の表をご覧いただきたい。未だに多くのタール系着色料が使用されていたのである。小薮氏は、

「かつて『週刊新潮』が問題提起したにも拘(かかわ)らず、未だにタール系着色料が使われ続けていることを知り、驚きました」

 としながらも、それを許しているのは客の側でもあるとしてこう続ける。

「消費者が見た目の良い食品を求める限り、メーカーはきれいな色が出せる安価なタール系着色料の使用をやめられない。したがって、消費者はぱっと見て、きれいで美味しそうだからという理由で商品を選ぶのではなく、しっかりと原材料表示を確認し、どんな添加物が使われているのかを見て選んでほしいと思います」

 なお美登利は、

「ご指摘いただきました食材に使用する着色料は天然物由来の原料に変更を検討しております」

 こう回答。今後は、「その昔、寿司にタール系着色料が使われてるなんて悪い噂があったよね」となることを願うばかりである。

週刊新潮 2021年3月18日号掲載

ワイド特集「変な噂 悪い噂」より

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