不倫疑惑の福原愛 天才少女ならではの哀しき「プリンセス」体質

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「国民の娘」、福原愛さんの不倫騒動が話題だ。夫と子どもを台湾に残して、知人男性と2日間にわたるお泊まりデートをしていたという。福原さんは直筆で、ビジネス上の相談相手だと釈明。ただ、ホテルや自宅といったひとつ屋根の下での「相談」となると、誤解を解くのはなかなか難しい。複雑な親心に揺れている人も多いことだろう。

 報道の数日前には「週刊誌の方にずっとつけられている」とツイートしていた福原さん。4歳からメディアに追われ、その怖さも人一倍知っているはずだ。それでも男性との逢瀬を楽しみ、お泊まりまでしてしまう幼さ、軽はずみな行動に首をかしげるばかりである。 

 けれども彼女のアンバランスな言動は、今に始まったことではないのも確かだ。新婚当時は夫・江宏傑さんと、カメラ前でもキスやハグを交わすアツアツぶりを見せつけていた。SNSでは3千万円とも言われる婚約指輪やウエディングドレス姿、女優さながらに決めた自撮りを次々にアップ。大いに注目を集めただけでなく、戸惑いの声も上がっていた。爽やかな国民的アスリートというイメージから、大きく隔たって見えたからだろう。最近は「ポエム別居」と言われ、意味深な中国語の投稿もいくつか見受けられる。

 イケメンとのラブラブ生活、華やかな装飾品、揺れ動く女心。全てを無邪気に世界に発信し続け、注目と称賛に身を浸す。その姿は、さながらおとぎ話のプリンセスのようである。そしてその「プリンセス体質」こそが、福原さんの持ち味でもあり、騒動の原因ではないだろうか。

 アスリートとしての早熟は歓迎するが、女としての早熟は許さない。そんな無言の圧力下で生まれる、幼さと奔放さの同居。それは福原さんに限らず、メディアを引きつける天才少女たちが持つ宿命であり悲劇である。結果が全ての世界で、恋愛なんてもってのほか。派手なメークやオシャレも禁止。私生活や服装はつつましく、メディア対応は和やかに。国民的人気と裏表にある、高い期待とプレッシャー。まるでロイヤルファミリーのプリンセスのようである。特に小柄で色白、童顔の福原さんは、「泣き虫愛ちゃん」と人気を博した少女時代から、よりピュアでひたむきなイメージを求められてきた。そうした状況下で、彼女の「プリンセス」的自意識は、内外から強固になっていったのではないだろうか。

 兆しを一番感じたのが、彼女が20歳の時である。有名男性アスリートとのデートが報じられ、空港で一人、深々と頭を下げたのだ。独身どうし、年頃の男女が恋愛したって誰も文句はつけられないはずなのに。思春期の頃は、取材陣に対して不機嫌な態度を隠さなかったこともある福原さん。そんなおてんば娘が、清濁併せのむ大人へ変化を遂げた瞬間だった。同時に卓球界、ひいては日本のスポーツ界を代表する「プリンセス」を背負う覚悟と重圧も、ひしひしと感じられたのである。

即時謝罪の美学と裏表の奔放な行動原理 プリンセスはハッピーエンドをつかめるか?

 空港での謝罪は、予定になかったが本人が申し出たという。福原さんは今回も、即時の謝罪に動いた。たとえ自分に非がなくても、長引かせるだけ状況は不利になる。ならばさっさと謝ってしまった方がいい。達観した状況判断は、優秀な選手だった証とも言えるし、プリンセスらしい美学とも感じ取れる。

 なにせ人気者だし、謝ればすぐ場は収まる。しかしその成功体験は、場当たり的な行動と背中合わせだ。だから福原さんは、注目も批判もされやすいのだろう。

 今回の騒動は実に象徴的だ。今年1月に華々しく起業したものの、ホームページを見る限り事業内容ははっきりしない。堂々たるデートに見えるのに、ビジネスの相談だと主張する。そして週刊誌の存在を知りながら、夫のいない自宅に招く軽率さ。不安があるならせめて起業前に助言を得るべきだし、密室で打ち合わせたいなら第三者も入れたらよかったのにと思う。しかしそんな「親心」は余計なお世話なのだろう。おとぎ話では、プリンセスは慎重というより好奇心旺盛なものである。高価なアクセサリーに王子様との結婚。次は「社長」という肩書が欲しいな。「エリート執事」もそばにいて欲しい。うまくいかない時は、すぐ謝ればなんとかなるし。福原さんは、そうときめくままに行動していたのではないだろうか。

 我慢を強いられる健気な娘時代を経て、押しも押されもせぬプリンセスの自意識と生活を手に入れた福原さん。夫のモラハラ疑惑も同時に報じられているが、現時点では双方とも離婚は口にしていない。互いのコメントに温度差はあるようだが、夫婦のことは夫婦にしかわからない。そして何より、プリンセスにはハッピーエンドしか似合わない。周りが何と言おうと、めでたしめでたしと結ばれる決着を福原さんは見つめ続けているだろう。私たちも下手な親心など振りかざさず、名もなきエキストラとして見守ることが一番のようである。

冨士海ネコ

2021年3月11日掲載

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