文政権、大統領肝いり「不動産政策」に価格高騰、汚職などで「大失敗」の声が上がり続けて

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最も多かった「不支持理由」

 2022年5月9日で任期満了を迎える文在寅大統領。残り1年余りとなった文政権の支持率が低迷しているのは既報の通りだ。韓国世論調査会社ギャラップが2017年5月10日の文大統領就任後に初めて行った調査では84%の支持率を記録したが、このところ40%前後を行ったり来たりしている状態。昨年12月に行われた調査で、最も多かった不支持理由は、不動産政策だった。肝いり政策は失敗の烙印を押された格好で、政権の命取りとなるかもしれない(※1ウォン=0.096円)。

 韓国の市民運動団体「経済正義実践市民連合」は3月3日に開いた記者会見で、「文在寅は政権発足後、4年間で不動産政策を25回行ってきたが、ソウルのマンション価格は上がり続けている」と指摘した。

 この団体はソウルの25自治区で、それぞれ3か所ずつマンションを選定し、計75か所、11万7000世帯を対象に、2017年5月から今年1月までの相場変化を分析。

「30坪型マンション」の平均価格は、2017年5月の6億4000万ウォンから今年1月には11億4000万ウォンと、実に5億ウォンも値上がりしていたことがわかった。

 一方、労働者の平均賃金は3096万ウォンから3360万ウォンと9%の上昇にとどまっている。

 前述の通り、マンションを所有する世帯は4年間で平均5億ウォンの値上がり所得を得たことになる。

 マンション非所有世帯が勤労所得で同等の利益を得ようとすると、年間1000万ウォンずつ貯蓄したとして、50年かかるわけだ。この計算を見るだけでも、マンション所有世帯と非所有世帯の格差が広がっていることがわかる。

 文政権は不動産価格の安定を図るべく、幾度となく不動産政策を繰り返してきたが、不動産価格は高騰を続け、特にソウルの価格高騰は歯止めがきかない。挙句には、「ソウルに住むことを諦める人」という意味の新造語が出てきたほどだ。

都市部から郊外へと移動せざるを得ない国民たち

 韓国統計庁が1月26日に発表した「国内人口移動統計」によると、移動者数は2015年の775万5000人以来減少と微増を繰り返し、約710~740万人にとどまっていた。

 しかし昨年、5年ぶりに2015年に次ぐ規模となる773万5000人を記録。

 中でもソウルからの転出者は164万2977人で、2016年の165万5859人以降、4年間で最も多かった。

 特にソウル周辺の京畿道に移動する人が多く、その割合はソウルからの転出者のうち65・4%にのぼった。

 職場がソウルにあるので都市部に居住したいが、結婚して子どもが生まれて家族が増えたことから広い家が必要になり、やむなく郊外に引っ越しをしたという話をよく耳にする。

 また30~40代の人々が集まると、誰からともなく住宅の話題を口にする。

 彼らは「ソウルに家を買うためには、宝くじにでもあたらなければ無理だ」と口を揃える。

 文政権はこれまで、15億ウォン以上の住宅ローンの禁止、ソウル市内でマンション購入する際の借り入れを住宅価格の40%以下に制限するなどの不動産政策を行ってきた。

 いずれも不動産価格の高騰を抑制するためのものだが、結果として、庶民がソウル市内に持ち家を購入することを難しくしている。

 何から何まで日本を模倣する韓国だが、こと住宅政策は独自の路線を歩んでいて、庶民の住宅購入を後押しする日本を模倣していない。

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