中国へのマイナンバー情報流出問題、厚労省は「不都合な報告書」を握りつぶしていた

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「再調査するつもりはない」

 しかし今回、厚労省は「幻の報告書」を長妻氏に提出。長妻氏は2月26日の国会質問で、この報告書に次のように書かれている点を追及した。

《中国の事業者には、氏名・フリガナのみが開示されていたとされているが、実際には、その他の情報が開示されていた可能性がある》

《情報漏洩の可能性についての機構の説明は不十分である。客観的根拠を示したうえで、情報漏洩の可能性の有無について説明する必要があるとの意見があった》

 長妻氏は田村憲久厚労相に新事実が出てきたのだから再調査すべきだ、と求めたが、田村厚労相は「検証作業班の一部の方はそう言っておられるが、中間報告の案のまま、まとまっていない」とし、「再調査するつもりは今のところありません」と拒否した。

 前出の厚労省関係者が内情を語る。

「検証作業班の中には厚労省から仕事を受注している人もいます。会合で、『こんな報告書を出したらもう仕事が来なくなる』と発言し、周囲を驚かせたこともあった。今でも厚労省の意向を忖度するメンバーと、情報漏洩の実態を明らかにすべきだとするメンバーの間で意見が割れています。

 厚労省も年金機構も今後、外部から送られてきたメールに記載されていた個人情報は本物だが、SAY企画が委託した中国企業から漏れたものではない、メールが送られてきた後、流出したデータがあるという情報は寄せられていないので、現在は流出していないと言い張るつもりです。もうこれ以上、新たな証拠は出てこないと高をくくっているわけですが、本当にこれでいいのかと省内にも疑問視している厚労官僚はいます」

 消えた年金記録問題で第1次安倍晋三内閣を総辞職に追い込んだ長妻氏による追求だけに、問題山積の菅義偉内閣にとって、またひとつ頭痛の種が増えたということだろう。

デイリー新潮取材班

2021年3月5日掲載

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