大阪桐蔭、今年は史上最強の呼び声も…プロ注目の逸材が溢れる“恐るべき戦力”

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5割を超える打率

 一方の打線の中心となるのは、旧チームから中軸として活躍している4番、センターの池田陵真だ。無駄な動きのないシャープなスイングで力みなく広角に鋭い打球を放ち、昨年秋は公式戦11試合で5割を超える打率をマークした。身長は172cmと小柄だが、たくましい体格で長打力も歴代の4番打者と比べても遜色ないだけのものがある。

 池田の前後を打つサードの宮下隼輔、ファーストの前田健伸も楽々とスタンドまで運ぶパワーがある強打者。クリーンアップの迫力は、選抜出場32校の中でもナンバーワンと言えるだろう。さらに、今年のチームは打力だけでなく足を使える選手が多いというのも大きな特長だ。

 昨年秋の11試合でのチーム盗塁は35個を数え、特に1番の繁永晟、2番の野間翔一郎は抜群のスピードで相手の守備を撹乱する。これまでのチームは序盤に手堅くバントで送って、中盤以降に一気にたたみかけるというパターンが多かったが、今年は足で揺さぶる攻撃が見られそうだ。

 強打のイメージが強い大阪桐蔭だが、実は毎年他のチームと比べて圧倒的に勝っているのが守備力である。今年のチームも内野、外野ともに鉄壁と呼べるだけのレベルにある。秋の近畿大会決勝では、智弁学園の打線に序盤から押されて公式戦の連勝は10で止まったが、12年、18年と春夏連覇を達成したチームも秋は悔しい負けを経験しており、逆に吉兆と言えそうだ。3度目となる春夏連覇へ向けて、選抜ではさらにレベルアップした戦いを見せてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月20日掲載

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