中国で「海警法」施行、ついに武器の使用が可能に 政府の無策に自民党部会が猛批判

国際 中国

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 尖閣諸島が日本固有の領土であることは明らか――。

 日本政府は沖縄県石垣市の尖閣諸島について、こう繰り返してきたはずだった。

 ところが、昨年1年間に尖閣諸島の接続水域に入域した中国公船の数は実にのべ1161隻。うち、領海に侵入したのは88隻に上る。

 中国の我が物顔なふるまいは止まらない。今月1日には、「海警法」が中国で施行されたのだ。

 全国紙記者によれば、

「領海侵入を繰り返す中国公船は海警局という組織の船。ここは日本の海上保安庁にあたる組織でしたが、2018年には軍の指揮下に組み込まれ、さらに今回の海警法により、主権を侵害したとみなす外国船に対し、武器の使用を含むあらゆる必要な措置をとれるようになった。“第2海軍”と呼ぶにふさわしい実体を得たのです」

 6日には海警法の施行後初めて、尖閣沖に“公船”が侵入。ついに日本の領海を、中国の“軍艦”が跋扈することになったのだ。

 ところが、そこに至るまでの政府の動きは鈍かった。

「4日の衆院予算委で茂木敏充外相は“海警法が国際法に反する形で運用されることがあってはならない”と答弁。しかし運用云々でなく、海警法の施行そのものが国際法違反だと強く非難すべきでした」(自民党議員)

 政府の弱腰な対応に危機感を覚えた議員は少なくなかった。

「5日に党本部で行われた外交部会・外交調査会では、青山繁晴参院議員が外務省の職員に詰め寄る一幕もあったといいます」(先の記者)

 当の青山氏に聞くと、

「4日夜の国防部会で防衛省が配布した資料には、前日に行われた外相・防衛相の日英2プラス2で、中国を牽制したことが記されていました。ところが、5日の外交部会で外務省が配付した資料にはそれがない。意図的に隠したとしか考えられず、国民を愚弄しているのかと声を上げたのです」

 外務省の“中国隠し”には、ある事情も透ける。

「安倍政権から菅政権に代わり、抑圧されていたチャイナスクールが再び息を吹き返したかのようです」(同)

 先の議員も嘆息しながら、

「諸悪の根源は茂木外相でしょう。彼はアメリカ通ではありますが、中国問題は素人同然。中国音痴の茂木氏も外交音痴の菅総理も外務省の言いなりで、タカ派議員の間で安倍再登板を望む声が出ています」

週刊新潮 2021年2月18日号掲載

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