厚労省の「ワクチン接種システム」がお粗末過ぎる 河野大臣のイライラは募るばかり

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いまだに紙で

 これにも問題がある。ほとんどの自治体は予防接種台帳のデジタル化を進めているものの、全住民の接種把握に使ったことはない。しかも、接種した医院などから送られる接種情報と料金請求はいまだに紙を使用しており、月末締めの翌月提出といった流れになっている。自治体の多くは集まってきた大量の紙の接種情報や請求書を、委託業者に回してシステムに入力している有り様だ。

 実情を知って、河野大臣らのチームは青ざめた。

「欧米ではビジネスなどで海外渡航する際に、ワクチンを接種した証明書を出すことが検討されているのですが、日本のやり方だと、接種証明を出すのに数ヵ月かかってしまいます。これではビジネスマンには役に立ちません」(前出の河野大臣に近い政治家)

 そこで河野大臣は急遽、ワクチン接種の情報システムを独自に国が立ち上げることを決めたわけだが、まさに時間との勝負になっている。開発したシステムをないがしろにされ、メンツが潰れた形になった厚労省の官僚は、記者クラブの記者に、

「予防接種台帳でできるのに、別のシステムを作って自治体の仕事を増やそうとしている」

 と説明している。人材も豊富で、経費も使える自治体では先行して情報システムの独自開発に動き出しているところもあり、二重投資になる可能性もあるというのだ。

「菅内閣の支持率が急落している中、ワクチン接種でもトラブれば、菅内閣の命運は尽きてしまう。菅首相としては国はやることはやっている、自治体が悪いと言いたいのだろうが、それは通りません。河野大臣も成功して当たり前、失敗したら将来の総理の目が消えるから必死でしょう」

 と、ベテラン議員はみる。河野大臣の厚労省へのイライラは募るばかりのようだ。

デイリー新潮取材班

2021年2月15日掲載

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