「渋沢栄一」大河は始まるけれど… コロナで叶わぬ故郷の“町おこし”

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 背は五尺で位は子爵──。故郷の埼玉県深谷市では、今でも渋沢栄一はこう親しまれている。今年2月14日からスタートする大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公、そして2024年度には新1万円札の“顔”。もちろん地元は大フィーバー……とはいかず。コロナ禍でまったくお気の毒な様子なのである。

 例えば昨年「渋沢栄一記念館」に登場したアンドロイド。手振りを交えた“講義”を聞かせてくれるのが売りで、多いときには月に約3200人もの聴衆に語りかけた。しかし現在は、緊急事態宣言以前に予約していた客のみが相手、もっぱら“講義室”で途方に暮れたように立ち尽くしているという。担当者は、

「せっかくみなさんに来ていただきたいのに、“来てください”とは言いにくく、なんとも歯がゆいです」

「記念館」から徒歩10分ほどの「生誕の地」も同様。お札の顔に決定した際には、連日千人を超す入場者があったが、今は休日でも寒風が吹きすさぶばかりなのだ。

 とはいえ、市民の気合いは相当なもの。商店などでは各々“渋沢グッズ”を販売しており、中でも8年前にオリジナルグッズを作って先鞭(せんべん)をつけたのが、ハンコ屋さん「川本山陽堂」である。

「はじめはみんな“だれがそんなの買うの?”って反対してたのに、今では手のひらを返しましたね。大河は1年で終わってしまうけど、ドラマを通じて深谷の価値が見直されたらうれしいです」

 偉人への深~い愛に溢れた町。ドラマの予習復習にぜひ。

週刊新潮 2021年2月11日号掲載

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