黒柳徹子が明かす45周年「徹子の部屋」秘話 唯一「カットしたシーン」とは

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馬場直伝のスクワット

〈絶えることのない好奇心。事前の綿密な準備と、“生”の緊張感。こうした番組作りにおける「心」「技」が長寿の所以なのだろう。そしてもちろん根底にはそれを支える「体」もある。黒柳さんは45年間、体調を理由に収録をキャンセルしたことが一度もないというのだ。〉

 休むのは、夏休みとユニセフの仕事の時くらい。父の葬儀も母の葬儀も収録で出席できなかったほどで、幸い、大きな病気もしたことがない。一度、顔をぶつけて頬が切れてしまったことがありましたけど、肌色の絆創膏を貼ったらわからない、って言われて、それで出ました。体調不良で休んだこともありません。これと、ドタキャンするゲストが一人もいらっしゃらなかったこと。この二つは私の自慢です。

 私も小さい頃は病気がちだったんですが、東京大空襲の後、青森に疎開して裸足で野山を駆け回っているうちに、転地療法とはよく言ったもので、風邪ひとつひかなくなりました。

 秘訣といえば、スクワットを1日50回やってるんですよ。これはジャイアント馬場さんに教わったんです。馬場さんがゲストにいらした時、「あなたは100歳まで仕事をしたがっていると聞きましたが、それならこれをやってみてください」と、目の前でヒンズースクワットをやってみせてくださったんです。馬場さんは「僕たちは1日2千回やってましたけど、あなたは50回でいい。ただ、こういうものは昨日できたから今日もできるのであって、一日休んでしまうと段々できなくなる」と。それから1カ月しないうちに馬場さんはお亡くなりになってしまいました。だから私はこれを馬場さんの遺言だと思って、以来、寝る前に欠かさずやっているんです。

 それから、最近は週に2回、先生に来ていただいて、簡単な体操もしています。廊下を歩いたりとか、壁に手をついて腕立て伏せとか、横歩きとか。あんまりきついと嫌になっちゃうので、軽い体操を……そうですね、1時間みっちりやっています。部屋の中にエアロバイクを置いて、自転車漕ぎも。

 やっぱりね、身体が資本なんです。長時間の収録では、頭がはっきりしていても身体が不調だと具合が悪くなるので、頭も身体も丈夫にしておくのが大事。夜も成長ホルモンが分泌されるという、11時くらいには寝て、5~6時には一旦目が覚める。そこで、お白湯(さゆ)をゆっくりと飲んで甘いチョコレートの一切れでも食べるとすぐ寝られるので、そのまま10時くらいまで寝る。しっかり眠るのが身体に一番良いと思います。

 あと食べることも大切。私はお酒は飲みませんが、お肉も食べますし、お菓子やアイスクリームみたいな甘いものも大好き。ついつい食べ過ぎて、事務所の人に注意されちゃうこともあるくらいです。

スマホもインスタも

〈そんな黒柳さんと「徹子の部屋」を危機が襲ったのは昨年のこと。折からのコロナ禍で収録ができなくなってしまったのだ。2カ月半収録が中止になり、その間の放送は、ストックと再放送でまかなったという。

 黒柳さんは、その期間をどう過ごしていたのか。〉

「徹子の部屋」に限らず、全部の収録が止まってしまって、1週間も2週間も何もしないで家にいるなんてことはテレビ界に入って初めてでした。ずっとレギュラーがあって、働きづめに働いていましたからね。しかも家の外に出ちゃいけないなんて、何だか戦争中に戻ってしまったような気分がしましたよ。

 緊急事態宣言が出て表に出られなかった時は、本を読んだり、ビデオで映画を見たり、お友達に手紙を書いたりして過ごしました。でも、とても充実した時間でしたよ。私、シュテファン・ツヴァイクっていう、オーストリアの作家が大好きなの。若い時にほとんど読んだんですけど、全集の中で読んでないのが1~2冊あったんです。これは良い機会だと思いました。彼は人物を描くのが本当に上手いんです。全集の中に『人類の星の時間』という作品があるんですが、作曲家のヘンデルのこととか、南極探検のスコット大佐のこととかを描いてある。ヘンデルがどうやって「メサイア」って曲を作曲したのかを詳しく読んで、銀座の楽器屋さんに連絡して「メサイア」のCDを送ってもらい、聞いたりしていました。

 あとは、沈んでいる方々に少しでも喜んでもらおうと、インスタグラムも結構、更新していましたよ。

 私、スマホとガラケーを1台ずつ持っているんです。電話をする時はガラケー、いろんなものを見たり、調べたりするのはスマホです。

「徹子の部屋」のゲストで少し調べたいことがあるとスマホを使っています。ちょっと面白い話を聞くと詳しく知りたいと思うことがあるじゃない。その時にスマホは便利ですよね。使い始めたのは、そうねえ……。3年くらい前かしら。でも、今の人みたいに、何かにつけてスマホを見ていたいってわけではないの。この頃、電車に乗るにしても何にしても、みんな見ているじゃない? それに、あんまり人の噂話みたいなのは見ないようにしているんです。そういうのを見るとね、ろくなことがないでしょう。私が知っている女優さんがね、自分のことをスマホで調べてみちゃったんですって。「すごい下手糞。芝居見て損した」って書かれていたのを見てしまったらしくて、すごく落ち込んでしまったとか。

 私がインスタをやったのもそれなんです。インスタって意地悪なコメントは全然ないでしょう? きっかけは福山雅治さん。ある時、局でたまたま付けまつ毛が取れて、ほっぺたに付いちゃったことがあって。写真に撮ってもらって、ゲストだった福山さんに見せたら、「じゃあインスタやればいいのに」ってやり方を教えてくださったんです。「短い文章でいいんですよ。写真も自分が面白いと思うものでいいんですよ」って。それからは少しでも面白いことがあると写真に撮って載せるようにしています。

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