創価学会員に「視聴指令」が出た「学会プロモーション番組」とは

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 日ごろ“上からの指令”には慣れている創価学会員に、「テレビを見ろ」との通達が届いた。1月24日にTOKYO MXテレビが放送する「核兵器なき未来へ」なる30分の番組を視聴せよというものだ。

「核兵器なき……つまり核兵器廃絶といえば、戸田城聖・第2代会長が1957年に原水爆禁止宣言を出されて以降、池田大作・第3代会長も『恩師の遺訓』と位置付けて取り組まれてきたこと。これは必ず見なければと感じました」(学会関係者)

 念が入っていたのは、「聖教新聞」のサイトで、スマホアプリなどでも視聴可能と宣伝されていたことだ。かくして日本中の学会員が目を凝らしたであろう番組は、50年代に米国・ネバダ州で行われた核実験の映像とナレーションで始まる。

〈一発で都市を破壊できるほど強力な威力を持つ核兵器。現在、世界には日本へ投下された原子爆弾をはるかに超える威力を持った核兵器が存在します〉

 人類が瀕する危機――。長崎大学の研究者や元国連職員の専門家、広島の被爆者らが登場し、現下の状況の深刻さを伝える。

 いやはや、NHKスペシャルもかくやの真っ当な作りで。あっという間に20分が経過。ところが、残り6分を切ったあたりで番組は突如“本性”を現す。

 2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のベアトリス・フィン事務局長が、東京・信濃町の創価学会本部を訪問するシーンが登場。彼女が、出迎えた原田稔・現会長らに向かって、

〈皆さん方もICANです〉

 と語りかける場面が流れ、続けて戸田氏や池田氏が演説で平和の尊さを訴える姿などが矢継ぎ早に紹介される。前触れもなく、学会のプロモーションビデオに変貌するのだ。

 よく見れば、番組は創価学会の単独提供なのだが、はてさて、こうもあからさまな体裁をとるものか。

 創価学会に訊くと、

「核兵器の禁止と廃絶は、弊会の社会的使命と考えています」(広報室)

 と、あっさりした説明。しかし、番組には深い意図があると指摘するのはジャーナリストの乙骨正生氏だ。

「核兵器廃絶は学会にとって“一丁目一番地”と言うべき重要なテーマ。にもかかわらず、日本政府は国連核兵器禁止条約に参加せず、学会員の間に与党・公明党への失望と怒りが広がりました。今夏には学会が最重要選挙と位置付ける都議選が、秋までには総選挙が行われる見込みです。学会としては士気の低下を食い止めるため、番組によって平和活動への取り組みを再認識させ、求心力の維持を図る狙いがあったのです」

週刊新潮 2021年2月4日号掲載

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