納得いかない落選で高野連を提訴、ニセ電話事件…選抜高校野球を巡る“三大事件簿”とは

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 今年で第93回を迎える選抜高校野球。過去には出場校の選考結果をめぐる裁判沙汰やニセ電話事件など、グラウンド外の騒動も起きている。そんな“裏センバツ史”とも言うべき三大事件を紹介する。

 代表に選ばれてもおかしくない成績を残したにもかかわらず、まさかの落選に納得できず、訴訟を起こしたのが、1970年の帝京商工(現帝京大高)だ。前年秋の東京大会で準優勝した帝京商工は、決勝戦も日大三と延長12回、1対2とほぼ互角に渡り合い、悲願の甲子園初出場は確実と思われた。

 ところが、2月2日に行われた選考委員会では、「選考資料の一部が(学校の)火災で欠損し、資料不足」という理由で除外され、東京代表の2校目は、準決勝で帝京商工に0対2で敗れた4位校の堀越、補欠校も準決勝で日大三に敗れた3位校の日大二が選ばれた。

 当時の選考では、強豪校との練習試合の結果も反映されていたようだが、帝京商工が東京の2位校なのは紛れもない事実。前年のセンバツ準V校・堀越が優遇された感は否めなかった。

 決定を不服とした同校の沖永荘一校長は2月20日、「これは不当な扱いで、教育機関の野球大会を主催する団体としての設立趣旨、スポーツ精神に反する処置である」と高野連の佐伯達夫会長を相手取り、大阪地裁に仮処分申請を行った。

 これに対し、都高野連は訴訟の取り下げを要望したが、拒否されると、同25日、「解決までの臨時措置」として同校を対外試合禁止処分にした。学校側も「処分は不当」として東京地裁に効力停止を求め、衆議院法務委員会でも「提訴したことを理由に処分するのはおかしい」と人権侵害問題として取り上げられるなど、紛糾の輪が広がるなか、大阪地裁は3月12日、「選抜大会への出場を主張する権利はない」と学校側の訴えを却下した。

 帝京商工は、帝京商時代の戦前にも、夏の東京大会を制しながら、ベンチ入り選手の「無資格問題」による出場辞退と、戦争の激化による大会中止で二度甲子園出場を逃しており、センバツ落選も含めて三度にわたって“幻の甲子園”に泣くことになった。

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