格安の「自費PCR検査」って、どれくらい有効なのか? ウィルスの専門家に聞いた

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検査の信頼度は?

 新型コロナウィルスのPCR検査を自費負担で受ける人々が増えているという。毎日新聞は12月23日、「焦点:新型コロナ 格安PCR、一長一短 陽性判定、届け出義務なし 都内に続々、予約殺到」の記事を朝刊に掲載した。(全角英字を半角にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)

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 記事の冒頭は、こんな具合だ。

《新型コロナウイルスのPCR検査が格安で受けられる民間施設が東京都内に相次いでオープンし、予約が殺到している。年末年始を控え、「低コストで安心を得たい」という心理が人気の背景にある》

 テレビでも、都内の施設前に行列ができている様子が映し出され、受診の理由を「検査が陰性だったら、実家に帰省しようと思います」とカメラに向かって説明する姿を、ご覧になった方もおられるだろう。

 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、PCR検査に対するニーズも更に高まった。従来は行政検査が主流で、発熱や味覚障害など感染が疑われる者や、感染者の濃厚接触者などが対象だった。費用は公費でまかなわれ、自己負担はゼロだ。

 一方の自費によるPCR検査は、当初こそ数万円と高額なケースが多かった。だが、20年4月7日から5月25日まで発令された最初の緊急事態宣言が解除されると、「コロナ禍における経済活動」が本格化、自費検査を希望する人々が増加した。

 需用増をキャッチした一部の医療機関・施設が、1万円を切るサービスを実施したこともあり、昨年末になって一気にブームとなったわけだ。検索エンジンに「格安PCR検査」と入力すると、価格競争が起きているのは一目瞭然だ。

厚労省は“リスト”を作成

 先に紹介した毎日新聞の記事は、低価格化に成功したか理由を説明している。引用させていただこう。

《これまでは陽性、陰性の判定は大手の検査会社に委託するケースが多く、検査料は高額になりがちだった。しかし、この2社は検査機器を自前で準備し、必要な試薬も大量購入するなどしてコストダウンを図った》

 しかし、「安かろう悪かろう」を心配するのは、消費者としては当然だろう。実際、朝日新聞は12月16日、「民間PCR施設、都心に続々 ばらつく精度、陽性なのに『陰性』も 厚労省が注意喚起」との記事を夕刊に掲載した。

「安い検査は信頼できるのか?」という問題意識は見出しからも伝わってくる。本文には次のような箇所がある。

《民間の施設によっては精度などにばらつきがあることから、厚労省は医師の診断の有無や精度管理に関する情報などを実施機関に尋ね、早ければ年内にもリスト化してサイトに載せるという》

 精度についての情報を厚労省が提供するというなら、非常に助かると感じる読者は多いはずだ。

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