「無戸籍」母子の餓死事件 助けを求めず、塩と水だけで3週間しのぎ
大阪府南部、関西国際空港にほど近い高石市で高齢女性の“餓死事件”が起きた。この女性が無戸籍で、同居していた息子にも戸籍はない……。令和の日本社会における“究極の持たざる者”が暮らした風景とは。
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高石市は、人口5万7千人あまりの小さな町。中心部の通りから細い路地を入ると、こぢんまりとした家が密集している。その一軒で、無戸籍の母子はひっそりと暮らしていたのだが、昨年9月のある日――。
「『宮脇奈々美』と名乗っていた78歳の女性が死亡し、それを49歳の息子が地域の自治会長に報せました」
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