「反日商売がヒドすぎる」と、韓国国内でも批判された「慰安婦賠償支払い判決」

国際 韓国・北朝鮮 2021年1月11日掲載

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故人にも適用される「判決」

 韓国のソウル中央地裁は1月8日、日本政府に対し、慰安婦被害者1人あたり1億ウォン(約950万円)の賠償金支払いを命じる判決を言い渡した。日本政府を対象とした慰安婦訴訟は幾度となくあったが、判決が下されたのは今回が初めてである。日韓ビジネスコンサルタントによる考察。

 故・裵春姫(ぺ・チュンヒ)氏を含めた12人の元慰安婦は2013年、1億ウォン(950万円)の慰謝料を求める民事調停をソウル中央地裁に申し立てたが、日本政府が訴訟関連書類の送達を拒否したため、16年1月、訴訟を提起した。

 そしてソウル中央地裁は今回、元慰安婦が提起した“1人あたり1億ウォン”という要求を完全に受け入れ、訴訟費用も日本政府が負担するよう言い渡した。

 その際に地裁は、「想像しがたい苦痛に悩まされ、被告から謝罪もされていない」「慰謝料は、原告が請求した1億ウォン以上だと考える」という“見解”を表明している。

 これまでにも、日本政府を対象とした慰安婦訴訟は幾度となくあったが、判決が下されたのは今回が初めてである。

 日本政府は、ある国家の裁判所が別の国家を訴訟当事者として裁くことはできないという国際慣例法「国際法上の主権免除の原則」を主張しており、控訴することはない。

 1審で下された判決が韓国内で確定するわけだ。

 昨年5月7日、自称元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)氏が、慰安婦運動市民団体「正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)」の数々の問題を告発してから8カ月。

 韓国のメディアや世論では今も、正義連の尹美香(ユン・ミヒャン)元代表のスキャンダルで持ち切りだ。

 尹美香元代表が「李容洙氏は元慰安婦ではなかったと発言した」という報道まであったが、一連の事件は、地裁の判断に影響を与えなかったようだ。

またも蔑ろにされた日韓請求権協定

 近年、日韓間で問題となっている元慰安婦といわゆる徴用工の問題は、1965年の日韓請求権協定で「解決済み」となっている。

 しかし、個人の請求権は消滅していないという言い分が、韓国国内でまかり通る。

 2018年10月30日、元朝鮮半島出身労働者、いわゆる徴用工問題で、韓国の最高裁にあたる大法院が新日本製鉄(現日本製鉄)に対し、韓国人4人に1人あたり1億ウォンの損害賠償の支払いを命じた。

 今回の慰安婦判決も、これをなぞって元慰安婦1人あたり1億ウォンの支払いを命じた格好となる。

 しかし、2018年の徴用工判決と、今回の慰安婦判決で大きく異なるのは、徴用工判決では被告が日本の民間企業だったのに対し、今回の慰安婦判決は日本政府が被告となった点にある。

 2018年の徴用工判決に対して、日本政府は“遺憾を表明”してきたが、対象が民間から政府となった今回、“遺憾を表明”するだけではなく、韓国政府に対して制裁を加えるべきだろう。

 2020年10月、文在寅大統領が「日本の企業が賠償に応じれば、後に韓国政府が全額を穴埋めする」という提案をしたのと同様、今回も非公式に日本政府に打診してくるかもしれない。

 そもそもそのような提案が実現する保証など、どこにもないのだが……。

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