親「文在寅」ママたちの集うインターネットコミュニティが「反文在寅」に変わる時

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取り込んだママカフェに税金

 文在寅大統領は、「K-防疫」と名付けられた新型コロナウイルスの防疫体制が世界最高水準だと自画自賛し、高い政権支持率を維持してきた。しかし、コロナ第3波が拡大して感染者数が過去最多を更新する昨今、支持率は30%台に急降下。文政権を支持してきたママ達のインターネットコミュニティでも「反文在寅」ののろしが上がりはじめた。

 韓国にもテーマや目的に特化した意見を自由に交換するインターネット掲示板があり、「カフェ」と呼ばれている。

 その1つ、「ママカフェ」は育児や教育、病院など子育てに関する情報交換が行われ、子育て中の母親達の間で、一般的なウェブサイトなどより情報伝達が速くて正確と認識されている。
 ママカフェに対する母親たちの忠誠心はとても高い。

 文在寅大統領は朴槿恵前大統領の罷免を求めた“ろうそく集会”が巻き起こった頃からママカフェを利用してきた。

 当時、大統領選を控え、ママカフェの特性を弁えていた文在寅候補は、ママカフェの運営者に会って協力を打診し、選挙活動を展開していった。

 遊説を聞いた運営者らは熱心な文在寅支持者になり、それが各地に広がり、これが大統領勝利に繋がった要因のひとつと言っても過言ではない。

 文在寅は大統領就任後もママカフェを活用して高い支持率を維持してきたし、アメを与えることも忘れなかった。
ママカフェを「社会的企業」に認定し、3000万ウォン(1ウォン=0.095円)の支援金を支給した。

 大統領就任前の2017年に950億ウォンだった社会的企業に対する財政支援は、18年と19年は1100億ウォンに増額された。

 バラマキと言ってもいい、その支援対象は主として文政権を支持する勢力だ。

文大統領ファンクラブ?

 支援金を受け取った中には各地のカフェ運営者も多く、彼らは文政権に不利な意見を書き込んだ会員を強制的に脱退させた。

 自由な雰囲気が魅力的だった掲示板は、文政権支持と反日感情を煽るコメントで溢れるようになった。

 韓国で社会現象になり、日本でも翻訳書が話題になった『82年生まれ、キム・ジヨン』は、政策の影響を直に受ける1982年生まれの主婦を主人公としている。

 その世代生まれのママ達で構成されている「82クック(82年世代)掲示板」にも、文大統領による公約のすみやかな実行や改革姿勢に期待する与党支持の意見が集まっていた。

 特に教育改革で私立幼稚園や英語幼稚園、学校カリキュラムの改革案が出されると、掲示板における政権支持への熱量は大いに高まった。

 ママカフェは文大統領ファンクラブの様相を呈しているかに見えたが、実際は、「声が大きな少数の親文派ママ達」が流れを作っていたに過ぎない。

 残りの一般会員はおおむね、その流れを積極的に否定しなかったと見ていいだろう。

 しかし、曺国(チョ・グク)事件や不動産価格の高騰、教育改革の遅れ、そしてコロナ対策の失敗など、文政権の失策が相次ぐことで、一般会員のママ達が声を上げ始めた。

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