医師、保健所から「コロナをインフルと同じ5類指定に」という悲鳴 声を大にして言えない理由
医療の逼迫(ひっぱく)を理由に「緊急事態宣言を」と安易に叫ぶ輩(やから)もいるが、社会に決定的ダメージを与える前に打つべき手は山とある。その決定打たる指定感染症2類相当の解除をテレビで訴えた医師に、どうやら圧力がかかった。その正体こそが、国民の命の敵であろう。
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フジテレビ系の朝のワイドショー「とくダネ!」で12月21日、小倉智昭キャスターは「経済優先を考える人は、報道が緊急事態を煽りすぎるとか、医療崩壊はあり得ないって言うんですが、その根拠っていうのは、まったく僕にはわからない」と発言。そして「実際に京都では病院が逼迫している」とつけ足した。
残念ながら、不勉強と言わざるを得ない。いま新型コロナウイルス患者を受け入れている病院の多くが逼迫しているのは、事実である。だからといって、立憲民主党の枝野幸男代表が叫ぶように、緊急事態宣言を出すしか道がない、というわけではあるまい。
本誌(「週刊新潮」)は繰り返し主張してきたが、問題は、医療機関や医療従事者の間に生じている負担の偏りである。
日本の医療法では、都道府県知事は病院の医療内容に口を出せない。それでも公的医療機関にはそれなりに指示できるが、民間に対してはお手上げだ。しかも、日本は欧州諸国とは真逆で、8割超が民間病院。その多くがコロナ患者を受け入れないから、一部の医療機関に負担が集中している。
それでも民間病院が悪いとは言えない。指定感染症第1、2類相当とされている新型コロナには、致死率5割超のエボラ出血熱並みの対応を求められる。近年の医療費削減もあり、余裕がない民間病院には負担が重く、受け入れれば風評被害も避けられないからだ。
逆に言えば、この不均衡が是正されれば、医療の逼迫が深刻に語られることもなくなるのではないか。感染者数、死者数ともに桁違いに多い欧米でも、医療は逼迫しこそすれ崩壊しない。一方、日本の医療は世界トップレベルで、人口当たりのベッド数も世界一といわれているのである。
ところが、なぜかこの弱点を是正しないのが現政権であり、コロナ禍で経営が逼迫した多くの企業や店に引導を渡し、倒産や失業を生む、という選択肢を選ぼうとしているのが、枝野代表たちである。
そんななか、日ごろ感染拡大の恐怖を煽るばかりの民放のニュース番組が、コロナ治療の最前線に立つ医師の、悲鳴にも似た提言を紹介した。12月17日、テレビ朝日系「報道ステーション」に、日本赤十字社医療センター呼吸器内科部長の出雲雄大(たけひろ)医師が出演し、新型コロナは「指定感染症から外すべき」であり、インフルエンザと同じ「5類まで下げるべき」だと主張したのである。それは概ねこんな内容であった。
「濃厚接触者に認定されますと、基本的には2週間自宅待機しなければならないんです。当院では、1度53人が濃厚接触者になったことがあり、全員にPCR検査をしたら陽性者は1人だけでした。つまり52人は特に症状がなく、感染もしていないのに、2週間働けない状況でした。当然人員が足りなくなり、病棟を閉鎖したり、外来や救急、手術を止めたりしなければいけなくなりまして」
「入院は重症の患者さんを中心とするべきだと思います。濃厚接触者の洗い出しなどの作業を、保健所等でしていただいていますけど、そのようなマンパワーをほかに割いていくべきだと私は思います。たとえば5類の季節性インフルエンザは、例年日本では1千万人くらいの方がかかるわけです。約1万人が亡くなって、明らかにコロナより多いわけですけれども、現在言われている医療逼迫が、たとえば去年、起こっていたかというと、そういうことはなかったと思います」
富川悠太キャスターが、新型コロナにはワクチンも特効薬もなく、感染者の容体が自宅で急変したらどうするか、と問うと、
「インフルエンザや心筋梗塞の人が自宅で急変しないのかというと、そんなことはないと思います」
と言い、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターを配り、93%を下回ったら入院、という方法もとれると提案。現場は「コロナに対するゼロリスクをとるのかどうか」という問題になっており、このままでは、救急患者の治療ができない事態すら招くとして、
「多くの国民の健康と命を守るという意味でも、すぐ具体的な方策をとりたいというのが思いです」
と締め括ったのである。
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