ゼビオが東京Vを子会社化 旧経営陣を“ボロクソ批判”でさらに高まる不信感

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スポーツマンシップがない

「経営難に陥らせた旧経営陣に問題があったなら、責任は問われるべきでしょう。さらに、発表した内容に根拠があるのなら、法的に訴えるべきです。ただ、その旧経営陣の中で副社長を務めていたのが、今回、代表取締役代行に就任した森本氏です。また、新社長の中村氏もヴェルディの取締役でした。彼らの責任は問われないのでしょうか。まあ、彼はゼビオから出向してきた人ですし、新社長の中村氏はゼビオ副社長ですからね。リリースには署名もないので誰が書いたのかわかりかねますが、ゼビオが子会社化したその日ですから、推して知るべしというところでしょう。ともあれ、旧経営陣からの反論は封じた上で、一方的に攻撃したのは、Jリーグも問題視しているようです。そもそもスポーツマンシップのかけらも感じられません」

 ネット上でも、これらリリースには疑問の声が上がっている。

〈宣誓させてるところにちょっと、いやかなり闇を感じる…これでヴェルディ存続とりあえずはいいけど今後が心配…〉

〈辞任にあたって経営陣から批判しない宣誓もらっておいて、・過剰な経費利用等が常態化・複数の不透明な商取引とか挙げてみたり、「ゼビオは味方だよ」と書いてみたり、もうめちゃくちゃだなこれ〉

〈ゼビオが声明を発表してないから、経営陣の言い分が正しいか分からないけど、最後の一文『※辞任にあたり、上記3名からは弊クラブの信用や評価を毀損する行為を辞任以降行わないことの宣誓をいただいております。』この一文でゼビオが悪であることは分かった。〉

 そもそも東京Vにゼビオが絡んだのは、読売グループが経営から抜けて経営難に陥った10年前に遡る。

 詳しい経緯については、デイリー新潮「『東京ヴェルディ』経営再建で大モメ スポンサーとの“不平等条約”にV社長が泣いた」(20年12月24日配信)をご覧いただきたいが、不可解なのは、再び経営難に陥った昨年11月の時点で、東京Vはゼビオに子会社化を申し入れていたことだ。

「東京Vの旧経営陣は、自らの身を呈して、チーム存続の道を作ろうとしていました。その提案をゼビオは当初は受け入れたが、すぐに蹴ったのです。そのため、東京Vは12月27日に臨時株主総会を開催して、新たな支援先を探そうとしていた矢先のことでした」

 予定された株主総会の2日前になって、ゼビオは新株予約権を行使し、東京Vを子会社したというわけだ。いったんは取り消した子会社化を、ゼビオはなぜ行ったのだろう。

「ゼビオの本音は、これまで通り、新株予約権は行使することなく、経営権だけを握りたかったのではないでしょうか。しかし、両社の争いがマスコミに報じられ、サポーターの怒りに火がついた。東京Vの最終戦では、ゼビオを非難する横断幕がグランドに掲げられ、会社の信用も傷つき焦ったのかもしれません。新株予約権の行使から引くこともままならなくなったのでしょう」

 とはいえ、東京Vは子会社化によって経営の危機からは免れたのも事実である。

「ゼビオが本気なら、ですけどね。25日朝、東京Vにゼビオから10人ほどが乗り込んできたそうです。内部監査と称して、まるで特捜部のように段ボールで書類を漁って行った。何も知らない東京Vのスタッフたちは、かなり動揺したそうです」

 その後、問題のリリースが発表されたというわけだ。

「これまでゼビオは東京Vについて、マスコミ各社の取材にもまったく答えようとしませんでした。しかし、経営権を握った直後に発表したリリースのせいで、かえって“あの会社おかしい”と不信感を高めてしまった。一方的なリリースで怪しまれるよりも、再建する気があるのなら、堂々と会見を開いて発表すべきだったと思います。東京Vは企業規模でいえば中小企業かもしれませんが、サポーターで成り立っているチームです。地元自治体も株主にいることですし、文化公共的側面もある企業なのです。ゼビオの説明責任は重いと言わざるを得ません」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月7日掲載

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