中国が尖閣を狙う「海警局」の船に武器使用を認める法案、「3つの組織」に対抗策は?

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 2020年、尖閣諸島の日本の領海のすぐ外側にある接続水域で確認された中国海警局の船は、2008年に統計を取り始めて以来、最も多い326日間 (2020年12月26日現在)を記録した。

 さらに、日本の海上保安庁に相当する中国海警局の艦艇は、接続水域のみならず、日本領海への侵入を繰り返している。最近では12月23日未明、海警局の船2隻が約11分間侵入した。海警局の領海侵入は、今年に入って28日目。この時は日本漁船に接近する動きを見せたため、海保巡視船が間に割って入った (12月26日現在)。

 実をいうと、尖閣諸島を狙っているのは海警局だけではない。米国の海兵隊に相当する中国海軍陸戦隊と海上民兵も尖閣諸島への上陸を狙っているのだ。

 そこで、尖閣諸島を狙う海軍陸戦隊、海警局、海上民兵の実態を解説しよう。

1 海軍陸戦隊

 中国海軍は、約750隻の艦艇を保有 している。このうち、米議会調査局が2019年10月に公表した報告書によると、中国海軍の主要艦艇は2005年以降、14年間で約1・5倍の335隻に増えている。ちなみに、海上自衛隊の主要艦艇は140隻 に過ぎない。

◆第4の艦隊に格上げ

 2019年7月に公表された中国の国防白書は、敵前での揚陸作戦を担う海軍陸戦隊(米国の海兵隊に相当)が3大艦隊(北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊)と同等に格上げされたことを初めて明記 した。

 海軍陸戦隊が格上げされたことにより、第4の艦隊が誕生したわけである。むろん、単に組織を格上げしただけでなく、2019年9月には中国海軍の揚陸作戦で主力となる強襲揚陸艦「075型」を進水させている。

 中国メディアによれば、「075型」は米海軍が8隻保有するワスプ級 (米海軍はワスプ級を含め10隻の強襲揚陸艦を保有 )に匹敵する満載排水量4万トン超の強襲揚陸艦 で、2025年までに4隻が就役するとも言われている。

 30機のヘリコプターとエアクッション型揚陸艇を搭載 し、海軍陸戦隊の兵員や戦車などを敵地へ送り込むことができる。台湾侵攻や南シナ海の島嶼占拠を想定しているとみられるが、当然、日本の脅威にもなる。

◆尖閣諸島急襲作戦も想定

 米国防総省が2017年に公表した中国の軍事・安全保障に関する年次報告書によれば、中国海軍は急襲作戦の遂行力を向上させるため、新たな装備の使用や訓練に取り組んでいると分析。尖閣諸島に急襲作戦を仕掛けることを想定し、部隊育成を進めていると指摘した。

 また、海軍陸戦隊が広東省にある演習場で強襲揚陸作戦の訓練を実施したと指摘。具体的には、水陸両用車やボートを使用しての上陸、ヘリコプターで特殊部隊を潜入させる 訓練だったという。

 2018年の年次報告書は、急速に能力を高める中国軍への警戒感を鮮明にし2017年の最も重要な変化の一つとして海軍陸戦隊の増強を挙げた。

 それまで海軍陸戦隊は、2個旅団約1万人規模で任務の範囲も南シナ海に限定されていた。それが、2020年までに7個旅団計3万人以上に拡大すると予測し、海外に遠征展開できるようになるとしている。

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