「大みそかの終夜運転」取りやめは「超異常事態」 いつ始まった? 取りやめはいつ以来?

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終夜運転が復活したのは?

 ちなみに、10月12日の晩になぜ終夜運転が実施されていたかというと、日蓮宗を開いた日蓮が入滅した東京都大田区の池上本門寺で例年10月11日から10月13日にかけて会式(えしき)が盛大に執り行われているからだ。

 なかでも万灯練供養(まんどうねりくよう)が営まれる10月12日の晩には30万人以上の人出でにぎわい、東京の鉄道は人々の移動の便を図るため、終夜運転を行っていたのだ。

 今日では終夜運転は行われていないが、近くを走る東急電鉄池上線では列車が増発される。

 昭和に入ってすっかり恒例行事となった大みそかにおける東京の終夜運転も、1941(昭和16)年12月には国有鉄道、地下鉄、都電の前身の市電のすべてで中止となった。

 理由は「都合により」とのことだが、容易に推測できる。

 この年の12月8日に日本はアメリカ、イギリス、オランダに対して宣戦を布告し、太平洋戦争に突入した。

 恐らく、政府は初詣どころではないと鉄道会社各社に対して終夜運転の取りやめを命じたものと思われる。

 大みそかの終夜運転は戦時中、そのまま中止となっていて、復活したのは1946(昭和21)年12月で、市電改め都電で行われた。

 もっとも、都電では1946年3月4日の晩からずっと終夜運転が実施されていて、大みそかだけが例外ではなかったらしい。

 戦後直後の東京は人の行き来が激しかったので都電は24時間体制で運行されていたのかと思いきや、1946年2月28日付けの朝日新聞朝刊の記事には「司令部命令」とある。

 当時日本を占領していた連合国軍の総司令部、つまりGHQが強制的に命じたものであり、深夜の輸送需要が存在したからではない。

 その証拠に記事には「司令部命令」に苦慮する都電の運行管理者の言葉が載っており、輸送動向を踏まえて主要路線だけで実施し、ほかの路線では終電の延長にとどめると語っていた。

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