引退から40年 山口百恵はなぜ愛され続けるのか 音楽プロデューサーの証言

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引退は「惜しくなかった」

 もっとも、人気絶頂時の1980年に百恵さんは引退する。活動期間は約8年に過ぎなかった。まだ21歳と若かったこともあり、酒井氏は残念だったのではないか。

「いいえ。周囲からは不思議がられましたが、残念とか惜しいとかの思いは全くありませんでした。さまざまな楽曲がつくれて、プロデューサー業を満喫させてもらいましたからね。百恵さんとの仕事は実に楽しかった。だから『幸せになってほしい』という気持ちしかありませんでした」

 阿木・宇崎夫妻による引退ソング「さよならの向こう側」は酒井氏にとっては会心の出来だったという。酒井氏ははっきりと口にしなかったものの、百恵さんへの祝福として最高の曲をプレゼントしたかったのだろう。

 百恵さんの人気が続く理由はまだある。現役時代から現在に至るまで、悪い評判が一切ない。現役時代も引退後も醜聞が流れたことはない。

 真面目である上、「デビュー当初から周囲との良好な人間関係を自然とつくれる人だった」からだろう。

 いまだ復帰待望論があるのもうなずけるが、「100%ない」というのが関係者の一致した見解。やはり大スターでありながら、43歳で引退すると、二度と表舞台に立たなかった故・原節子さんのような存在と考えるべきなのだろう。

高堀冬彦(ライター、エディター)
1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長。2019年4月退社。独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年12月29日掲載

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