愛犬や愛猫は大丈夫? 動物病院の調剤がペットの健康被害を招くというヤバい話

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調剤の危険性

 愛犬や愛猫ががんに罹患し、抗がん剤が投与されることも、動物病院で日常的な光景になった。

 そのため、ペットに投与する抗がん剤が、獣医師や動物看護師の健康に被害を与える危険性も懸念されているという。

「抗がん剤の飛沫が体に付着したり吸い込んだりして、健康被害を受けるケースは少なくないのです。人間の医療現場なら、薬剤師は“安全キャビネット”の中で調剤作業を行います。ところが大半の動物病院では、抗がん剤の投与は日常的なのですが、キャビネットを使用しているところはまずありません」

 動物看護師は国家資格化が決まった。ならば動物薬剤師の国家資格も必要なのかと言えば、それは違うという。

「ペットの医療現場に、薬の専門家は必要です。しかしながら、ペット専門の薬剤師を動物病院が雇用するとなると、コストがかかりすぎます。現実的な解決策は、現行の調剤薬局と薬剤師を活用するのがベストだと思います。動物病院専門の調剤薬局など、このような解決策を助けるサービスを提供する企業も登場しているようです」

獣医師側も期待

 ペットの飼い主も、「獣医師と動物看護師にお任せ」という態度は問題があるという。院内処方を改善することで生じる“コスト増”を、しっかりと引き受ける覚悟が求められる。

「動物病院の経営に、調剤による利益は不可欠なものになっています。病院によっては収入の4割を占めるところもあるのです。ペットの健康やコンプライアンスのため院外処方を推し進めていけば、診察費の値上げは不可欠です。飼い主は負担増に応じる必要がありますし、そのためにも保険に加入すべきだと思います」

 日本経済新聞(電子版)は10月1日、「加入は過去最高 ペット保険の賢い選び方、2大ポイント」という記事を配信した。

 文中では《国内ペット保険最大手のアニコム損害保険は、2020年4~6月の新規契約数が四半期として過去最高を記録した》と伝えながらも、《加入率はまだ低い》と指摘。アニコムは日経の取材に対し、《加入率は10%程度》と答えている。

 何よりも獣医師が薬剤師を必要としているようだ。日本獣医師学会の公式サイトに、「薬剤師に期待する獣医師療業務」というコラムが掲載されている。

 これによると、獣医師が《薬剤の管理および調剤をすべて担うことは、非効率であるとともに獣医師療上の事故につながる可能性》があると警鐘を鳴らしている。

 動物病院の業務において《薬剤の専門家である薬剤師に期待する》ことは多いと指摘している。飼い主の関心が更に高まれば、動物病院における院外処方が一気に進展する可能性もありそうだ。

【末尾註】
註1:小数点の表記は、デイリー新潮の表記法に合わせた。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月28日掲載

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