愛犬や愛猫は大丈夫? 動物病院の調剤がペットの健康被害を招くというヤバい話

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医療事故のリスク

 私たちが病院で治療を受けると、処方箋を渡されることがある。その紙を調剤薬局に提出すると、薬剤師が薬を渡してくれる。これを「医薬分業」と言う。

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 なぜ医薬分業が行われているのか、担当記者が解説する。

「日本では90年代まで、受診した病院で薬をもらうのが当たり前でした。これを“院内処方”と言います。なぜ院内処方が問題視されたかといえば、一部の医師や病院が薬でも利益を確保するため、患者に大量の薬を調剤する“薬漬け医療”を行ったからです」

 当時の厚生省は、法改正による“正面突破”を選択せず、行政指導で医薬分業の進展を狙った。具体的には、薬価を改定したり、処方箋の発行価格を上げたりするなど、病院側に利益誘導を行ったのだ。

 日本薬剤師会の公式サイトには、2012年度のデータを紹介し、《医薬分業率は66・1%に達し、完全分業にようやく近づきつつあります》と評価している。(末尾註1)

 ここまでは人間の話だが、動物病院の場合はどうなっているのだろうか。愛犬や愛猫を病院へ連れて行った経験のある方ならご記憶だろうが、“院内処方”が圧倒的多数だ。

 ところが最近、動物病院における院内処方を問題視する動きがあるという。

「インターネット上で『動物病院 薬漬け』と検索すると、かなりのサイトが表示されます。飼い主が『自分のペットが薬漬けにされた』と被害を訴えるものはもちろん、『薬漬けの医療は行っていません』とPRする動物病院も散見されます。ペットの投薬に対し、高い意識を持っている飼い主が既に存在するのです」(同・記者)

院外処方のメリット

 ブラジルでペットを飼っている日本人が、現地では医薬分業が行われていることをリポートしたブログもある。

 動物病院で薬が調剤されることはなく、処方箋だけが渡される。ちなみに、ペットの治療に用いられる薬は、そのまま人間用を使うことが多い。

 だからブラジルでは、動物病院が出した処方箋でも、普通の調剤薬局に持って行く。ただし、動物専用の薬が調剤されることもあり、その場合はペットショップに併設されている薬局などにも行く必要があるという。

 2軒の薬局に行くのは手間にも思えるが、ブログの筆者によると、医薬分業はメリットも大きいという。

 薬の名前や効能、副作用の有無などを、薬剤師から説明を受けることが可能であり、インターネットを活用すれば、処方箋に記された薬について自分でも調べることができるからだ。

 複数の痛み止めが調剤された時は不安になり、1つだけを投与して様子を見たこともあったという。

 獣医師法や薬機法などに詳しい獣医師は、「日本の動物病院でも“院外処方”を進めていくべきです」と指摘する。

「医師や看護師といった医療関係者もペットを飼っています。そんな医療関係者ですら、『ペットに間違った薬を調剤され、健康が悪化したという印象を持った』と打ち明ける人が、かなりの数に達するのです。もちろんペットが亡くなっても病理解剖など行われませんから、実態はよく分かりません。とはいえ、ペットの治療現場に薬の専門家が存在すれば、歓迎する飼い主は少なくないと考えています」

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