「阿部一二三」中継が切れた舞台裏 テレ東は“視聴率を稼ぎたい”

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 13日に行われた柔道男子66キロ級の東京五輪代表決定戦を生中継したテレビ東京が同日、試合の決着がつく前に放送を打ち切ったことについて「視聴者の皆さまには大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 この階級は、2017年、18年世界選手権連覇の阿部一二三(23)と19年覇者の丸山城志郎(27)の実力が伯仲し、唯一五輪代表が決まっていなかった。そこで、柔道史上初となるワンマッチで雌雄を決することになったのだ。

 中継は日曜日の午後4時から始まった。冒頭から番組は、両者のインタビューや、過去の対戦を放映するなどして、視聴者の飢餓感を煽りに煽った。4時44分になってやっと試合開始。だが、規定の4分間で決着がつかず、“技が決まれば即終了”の延長戦に突入。ところが、試合が16分を経過したところで、まさかの放送打ち切りとなったのだ。終了間際にアナウンサーは続きをインターネット中継で視るよう勧めたが、テレビだけが頼りだった視聴者は怨嗟の声の大合唱と相成った。

「実力拮抗する両者は、これまで7回戦って、うち6回が延長戦までもつれています。ですから、今回も延長になるのは十分に予想できたはず。本来は試合後のインタビューまで放送するはずだったので、あまりにも時間の読みが甘かった」

 と全柔連関係者が呆れる。

 中継されるに至った舞台裏を聞くと、これがなんともトホホな話だった。

 元々同級代表は、グランドスラム(GS)東京大会で決めることになっていた。しかし、大会がコロナで中止となり、代わりに組まれたのが今回のワンマッチ。中継は、例年GSを中継しているテレ東が行うことになったという。

「ワンマッチは当初、GSで66キロ級が行われるはずだった11日金曜日に開催される予定でした。でも、テレ東さんが“視聴率を稼ぎたいから日曜日にやってほしい”とゴリ押ししてきた。時間だってテレ東さんの要望に従ったんです。そこまで配慮したというのに、中継が尻切れトンボに終わってしまうとは……」

 実はテレ東、この日の朝もトホホな中継をしていた。

 ほかでもない、渋野日向子(22)らが出場したゴルフの全米女子オープンである。3日目のこの日、渋野は首位発進したが、首位キープしたまま15番をプレーしている最中に中継が途絶えた。さすがに最終日は最後まで中継したが……。

 なお、柔道は死闘24分の末に阿部が勝利して五輪切符を獲得。ゴルフの渋野は惜しくも4位に終わった。

週刊新潮 2020年12月24日号掲載

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