妻や親戚がイチ押し フィリピンの英雄「パッキャオ」は次期大統領選に立候補するか

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 ボクシングで6階級制覇し、41歳でいまもWBA世界ウェルター級王座に君臨するマニー・パッキャオ。現在、彼は母国で上院議員も務めるが、次期大統領選(2022年5月)への出馬が取り沙汰されている。

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 パッキャオは、かつて『タイム』誌の「世界で最も影響力のある人物100人」(2009年版)に選ばれたことがある。その時、元世界ヘビー級王者レノックス・ルイスは、「パッキャオは世界最高のボクサーで、いずれフィリピンの大統領になるだろう」と発言している。

 スラム街で生まれ育ったパッキャオは1995年、16歳でプロデビュー。98年、27戦目でWBA世界フライ級王者になったのを皮切りに、IBF世界スーパーバンタム級、WBC世界スーパーフェザー級など、6階級を制覇。戦績は71試合で62勝(39 KO)7敗、引き分け2だ。

 初めて選挙に立候補したのは2007年。アロヨ大統領(当時)の支援者だったパッキャオは、地元のジェネラル・サントスの役人から、地元と中央政府をつなぐ橋渡し役になって欲しいと説得され、下院議員選挙に南コタバト州地区1区から出馬した。だが、その時は現職に大差で敗れた。

妻はファイトマネーで投資

 2010年の下院議員選では、妻のジンキーさんの地元サランガニ州地区から出馬。初当選を果たす。13年の選挙では、無投票で再選。一方ジンキーさんも同年、サランガニ州副知事選に出馬して、当選した。

 16年は、上院議員選に出馬して、当選を果たした。任期は2022年まで。ちょうど大統領選と時期が重なる。そこで今度は大統領選への出馬が取り沙汰されているのだ。

「パッキャオの大統領選出馬は、本人よりも、家族や親戚が望んでいます」

 と語るのは、パッキャオと親交のある、スポーツライターの高須基一朗氏。

「妻のジンキーさんは、夫のファイトマネーが入ると、それで事業を行っています。ホテルを経営したり、工事用の重機の輸出入も手掛けたり、製薬会社にも投資するなど、手広くやっています。それもあって、夫には大統領になってもらいたいようですね。大統領になれば、色々と役得があるので、事業を有利に展開できると考えているのではないでしょうか」

 高須氏は、ジンキーさんや親戚とも交友があるというが、

「彼女の姉のご主人とは、週に1、2度連絡を取り合っていますが、彼も事業をやっていて、パッキャオには大統領になるべきだと主張していましたね」

 パッキャオのプロモーターであるトップランク社のボブ・アラム氏は今年6月、フィリピン紙「ザ・フィリピンスター」でこう語っている。

《彼は、「2022年の大統領選に立候補する。当選したらボブ、あなたに就任式に出席してもらいたい」と語っていた》

 もっとも、パッキャオ本人はこの報道の直後、ボクシングのニュースポータル「Boxing Scene」で、こう反論していた。

《アラムとは政治の話をしたことなど一度もない》

 とはいえ、こうも語っている。

《我々の国はあまりに問題が多く、我々が唯一今しなくてはならないことはフィリピン市民の困難を解決するために統一することだ。我々はフィリピンの国民全員のために力を合わせねばならない。多くの人が失業しており、特に外国で働く人が苦しんでいる。政治は今我々が必要としているものではない》

 そもそも彼には、政治家としての資質はあるのだろうか。

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