日本人の5割はコロナに「暴露済み」か 集団免疫獲得へ、致死率も低下

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「インフルと同じ5類に変更すべき」

「欧米の専門家たちは、日本の感染者数が欧米の数十分の1から100分の1であることを、“ジャパンミラクル”と呼んでいる。ところが、日本だけがそれをわかっていないのです」

 と、東京大学名誉教授で、食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が言う。

「欧米は第1波で医療崩壊しかけましたが、治療法がわかってくるなどして、医療は崩壊していません。いま日本も1日の感染者数が2千人を超え、重症者も増えはじめましたが、穏やかな増加傾向にあり、致死率は下がっています」

 では、なぜ医療崩壊が懸念されるのか。

「インフルエンザは日本で年間1千万人程度が感染し、関連死を含めれば1万人ほど死者が出ます。それでも医療崩壊しないのは、指定病院だけでなく全国のクリニックで治療に当たれば、それだけの患者を治療できるキャパシティがあるからです。新型コロナがインフルエンザの何十分の一の感染者で、医療崩壊だとパニックになるのは、ひとえに指定感染症2類相当とされているため。感染者を全数報告し、医療従事者も防御を徹底し、ということになるからです。インフルも新型コロナも、亡くなるのは高齢者、基礎疾患のある人、という点で大差がない。ところが新型コロナは2類相当であるため、罹ったら大変な病気という認識が形成され、病院での集団感染はインフルでもままあるのに、新型コロナはクラスターが発生すると大騒ぎになる。店舗に感染者が出れば休業する。これはすでに人的被害です。保健所のパンクも懸念されていますが、それも2類相当で全数報告しなければならないから。検査や感染者の行動追跡に、人手と労力を奪われているのです」

 そして、訴える。

「菅総理は“新型コロナウイルス対策に全力で取り組む”と言いましたが、政府がいま一番にやるべきことは、この感染症の法的扱いを、インフルと同じ5類相当に変えることです」

 掲載のグラフを見てほしい。インフルエンザの感染者が多かった2018~19年、多い週は28万人を超える感染者が報告された。1日平均4万人超である。しかも、それはあくまでも報告数で、このシーズンの推計受診者数は1200万人を超えた。その前年は2249万人である。それでもだれも騒がず、当たり前のように生活し、旅行をし、医療は当たり前に提供されていた。

 いまの状況を受けてGoToトラベルさえやめるなら、インフルエンザが流行するクリスマスや正月の時期は、一切の移動を禁じたらどうなのか。そうしなければ辻褄が合わないことに、早く気づくべきである。

週刊新潮 2020年12月3日号掲載

特集「コロナ感染者『1日2千人超え」が脅威ならなぜインフル『1日4万人超え』は平気だったのか」より

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