今どきな2つの理由で「金曜ロードSHOW!」は絶好調 他局も映画番組を復活か

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驚きのAI活用

 つまり視聴者は「金曜ロードSHOW!」を見ながら、SNSをチェックしたり書き込んだりする楽しみを見出したわけだ。リアルタイムの視聴を大勢の仲間で共有したと言える。

「昨年の場合、何と1993年日本公開版の『アラジン』(註6)を放送し、視聴率は15・1%でした。少なくとも1回は劇場やビデオなどで見ている視聴者が大多数だったと思います。

 にもかかわらず、『再び地上波でも見よう』と考えたのは、SNSが大きな追い風となったからと考えて間違いないでしょう」

 マイナビニュースは10月2日、「『金曜ロードSHOW!』GP帯唯一の映画枠で35周年 AI視聴率予測など新システム積極導入」の記事を掲載した。

 驚かされるのは、日テレがAIを活用し、番組の視聴率を底上げしているという部分だ。引用させていただく。

《人工知能(AI)による視聴率予測システムを開発し、4月から本格的に映画の買い付けに活用している》

《これは、興行収入、客層、映画サイトのレビュー点数、配信の有無、放送時期、視聴率実績など、過去5年程度のさまざまなデータから数値を予測する》

映画番組復活の可能性

 今のところは「金曜ロードSHOW!」の一人勝ちという状況だが、他局も黙って指をくわえて見ているつもりはないという。

「近年、映画番組の価値が見直されています。テレビ朝日も18年1月に放送した『君の名は。』(註7)が17・4%、フジテレビも今年10月10日と17日に2週連続で放送した『鬼滅の刃』(註8)が、それぞれ16・7%と15・4%という視聴率を記録しました。

 何と言ってもテレビ局にとって嬉しいのは、10代から40代のファミリー層がリアルタイムで見てくれる点です。CMを流す広告代理店やスポンサーにとっては、待ち望んでいる視聴者層になります」

 有料の動画配信サイトに人気が集まり、レンタルビデオ店が減少傾向にあるのも、テレビ業界にとっては追い風だという。

「誰もが映画にお金を払いたいわけではありません。無料で、自宅で、家族揃って映画を見るテレビ番組は、コロナ禍の時代にもフィットしました。

 腕利きのスタッフを集め、キャスティングに力を入れても、ドラマやバラエティの視聴率が8%台というのは決して珍しいことではありません。

 それが映画作品のオンエアで10%の視聴率が取れるなら、関心を示す民放キー局も出るでしょう。夜9時台の映画番組が復活する可能性もあると思います」

註1:デヴィッド・イェーツ監督(56)、ワーナー・ブラザース配給。
註2:記事中の視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区、リアルタイム、世帯。
註3:ジュスト・ジャカン監督(80)、日本ヘラルド映画配給。
註4:「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」、ジョージ・ルーカス監督(76)、20世紀フォックス映画(現・20世紀スタジオ)配給。
註5:宮崎駿監督(78)、東映洋画配給。
註6:ジョン・マスカー監督(67)、ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ配給。
註7:新海誠監督(47)、東宝配給。
註8:2019年10月10日に「兄妹の絆」[外崎春雄監督:アニメプレックス配給(同年3月に期間限定で劇場公開)]、10月17日に「那田蜘蛛山編」(15話から21話を再編集した特別編)を放送。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月20日掲載

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