今どきな2つの理由で「金曜ロードSHOW!」は絶好調 他局も映画番組を復活か

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レンタルビデオの快進撃

 しかし、映画番組は衰退を余儀なくされた。なぜなのか、民放キー局の関係者に解説してもらおう。

「原因の1つが、映画の買い付け費用の高騰です。例えば日本テレビは83年に『スター・ウォーズ』(註4)を、一説によると10億円で買い付けたと言われています」

 80年代なら視聴率30%台を確保できた。映画が終わってもチャンネルを変えずにいてくれるなど、メリットはあった。

 とはいっても、ヒット作と駄作のセット販売も珍しくなかった時代だ。いつしか民放側は“不良債権”の映画を抱え、オンエアに苦労するようになった。

「80年代になるとレンタルビデオが誕生します。その頃、映画会社とテレビ局は、邦画では公開から1年、洋画では2年の間を置くよう協定を結んでいました。

 一方でビデオは、公開から3か月で店頭に並びました。話題作ともなれば視聴者はテレビ放映を待つはずもなく、レンタル店に飛び込みました」

減らなかった視聴率

 そしてトドメを刺したのが、番組表で簡単に予約が可能なうえに、ハードディスクに記録できるテレビと録画機の誕生だった。

「ドラマやバラエティ番組なら、リアルタイムで見て、翌日に友達と会話する必要性もあるでしょう。

 ところが映画の場合は、劇場で公開され、衛星放送やネットで配信され、レンタルビデオ店に並んでから、地上波で放映されます。

 放送翌日に友達と会話する必要がないので、録画組が増えます。そのためリアルタイムの視聴率は悪化するので、映画番組がどんどん終了するようになったのです」(同)

 ご承知のように、日本テレビはテレビ朝日と熾烈な視聴率競争を繰り広げている。「金ロー」がお荷物と見なされ、いつ終了してもおかしくないという時期もあったという。

 映画専門番組だった「金曜ロードショー」だが、2012年に「金曜ロードSHOW!」となり、単発ドラマやバラエティの放送も可能となった。

 だが「金曜ロードSHOW!」が映画を放映しても、それほど視聴率は下がらなかった。

「日本テレビが独占的に放映できるジブリ作品や、系列の読売テレビが制作している『名探偵コナン』シリーズ、ディズニーの人気作品をオンエアすることで底堅い視聴率を達成していました。

 更に追い風になったのがSNSです。2011年に『天空の城ラピュタ』(註5)を放送した際、1秒間にツイートが発生した数(TPS)が2万5088という世界新記録を更新したことが大きな注目を集めました」

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