「韓国製」の詐称はお家芸 「文大統領」がプッシュするドローンタクシーも外国に依存

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「中身は中国製でしょ」と猛批判され

 韓国国土交通部とソウル市は小型無人機ドローンを利用する「空飛ぶタクシー」の飛行実験を行った。政府は2025年に国産ドローンタクシーの試験運用を開始し、28年の商用化を目指したい考えだが、果たして技術力の問題がその足かせとなっているのだ。

 20年11月11日、韓国国土交通部とソウル市は、ソウル汝矣島(ヨイド)の漢江公園で、中国億航智能社製の2人乗りドローン「億航(EH)216」に80kgの米袋を積んで「K-ドローン管制システム」の実証実験を行った。

「億航216」は最大220キロの人と貨物を載せることができ、最高時速130キロで飛行できる。

 今年5月、中国民間航空局(CAAC)から世界で初めて有人ドローンの試験運用許可を得て、8月にはカナダ運輸省航空局(TCCA)から特別運行証明書(SFOC)を取得した。

 北米で飛行を許された初めての有人ドローンで、中国とカナダで試験飛行を続けている。

 韓国初の「空飛ぶタクシー」は注目を集めたが、マスコミや市民は「K-ドローン管制システムとは名ばかり」で、「中国製ドローンの宣伝ではないか」と批判。

 市は、韓国企業も有人ドローンタクシーを開発中だが、現時点で飛行ができる機体はないため、億航の製品を3億ウォン(約2800万円)で購入したと説明した。

 実証実験イベントでは同時に韓国産ドローンを6台投入して、漢江一帯の交通量調査や橋梁状態のチェック、手紙やグリコ・ポッキーの模倣品である「ペペロ」の配達実演も行ったが、ドローンタクシーの陰に隠れて注目されることはなかった。

 市の交通政策課関係者は、2025年に金浦空港~蚕室(チャムシル)間に試験路線を開設し、28年に商用化路線を構築するという国土部の目標に合わせ、離着陸場の整備や制度を整えるため、飛行可能な中国製ドローンを使用したと説明する。

 国土部も、インフラを構築し、制度を準備するための実験で、外国製かどうかに意味はないと話しているのだが。

最高時速300キロ、幻の「国産」ドローン開発

 韓国政府は11月13日、ドローン企業の育成や公共分野における韓国製の活用率の引き上げを骨子とするドローン産業育成計画を発表した。

 今年6月時点の韓国ドローン市場規模は4595億ウォン(約430億円)で、16年末と比べて6.5倍に成長したが、公共分野の韓国製ドローンは5割未満にとどまっている。

 聯合ニュースによると、政府は25年までに国を代表するドローン企業を2社、また有望企業20社を育成したい考えで、来年からファンドを活用して技術力を持つ中小企業等を支援する方針だ。

 また、中・大型ドローンを製作する中堅規模以上の企業参入も段階的に承認し、飛行試験場を新設するほか、ドローンの作動や安全性を検証する「実証都市」を22年までに10か所にする計画だ。

 国土部は今年6月4日に実施した第2回革新成長戦略会議で「韓国型都心航空交通(K-UAM)ロードマップ」を発表。

 地上交通の混雑問題を解決する手段として、2025年を目標にドローンタクシーを商用化させ、空路通勤を可能にするという抱負を掲げたが。

 現在、韓国ではハンファシステムと現代自動車がドローンタクシーの開発を進めている。

 両社は「億航216」をはるかに上回る最高時速300キロを目標とし、国土部が初期モデル路線として発表した仁川空港-汝矣島間40kmを15-20分で移動させる計画だ。

 初期運賃は11万ウォン(約1万円)台になる見通しで、国土部は、運賃が高い導入初期は購買力がある空港路線から始まり、商用化の拡大で機体価格が下がれば短距離路線の需要も広がって、交通渋滞の緩和に繋がると皮算用をしている。

 ハンファ財閥グループ筆頭のハンファ(旧・韓国火薬)は韓国軍に兵器を納入している軍需企業で、90年代から韓国軍と共同でドローン開発に取り組んできた。

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