大村崑から森七菜、キムタクも…発売55年「オロナミンC」のCMはこんなに変わった

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 おじさん向けドリンクのイメージがあった「オロナミンC」(大塚製薬)が、気がつくと爽やか青春系ドリンクに変わっていた。理由はほかでもない。長く俳優の大村崑(89)や巨人軍の面々が務めていたCMキャラクターを、2018年10月からは清原果耶(18)が務め、今年3月からは森七菜(19)が担っているからだ。オロCに何があったのか?

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 CMキャラクターが、眼鏡がトレードマークの大村崑と角刈りの巨人軍選手たちから、森七菜に。同じ商品を宣伝しているとは思えないほど違う。

「元気ハツラツ!」でおなじみのオロCが発売されたのは1965年。炭酸栄養ドリンクは日本初だったこともあり、たちまち大ヒット商品になった。

 初代CMキャラクターの大村崑の貢献も大きかった。「番頭はんと丁稚どん」(毎日放送、1959)や「ちびっこのどじまん」(フジテレビ、1965)に出演していた当時の大村は国民的人気者で、オロCの知名度を瞬く間に押し上げた。

 1976年からは巨人軍が登場。練習風景などが流れた後、大村が「オロナミンCは小さな巨人です」と締めくくった。「巨人、大鵬、卵焼き」と言われた時代に人気者同士がコラボレーションしたのだから、強力なCMだった。

 当時の記憶があるため、中高年層以上には「オロCはおじさん向けドリンク」というイメージがある。ところが、2年前にCMキャラクターは清原果耶に変わり、制服姿でオロCをゴクゴク飲んだ。

 今年3月からは森七菜が登場。やはり制服姿だ。第1弾では高校の校舎の屋上で、ホフディランの「スマイル」(1996)をピアノの弾き語りで歌った。「元気は強いぞ。スマイル弾き語り」篇だ。第2弾では放送室のマイクに向かって歌った。「元気はつよいぞ。放送室からのエール」篇である。

 現在は校庭内で空気に向かって突きや蹴りを行う「元気はつよいぞ。見えない敵」篇が放映されている。インパクトの強いCMだが、どうしてキャラクターが森になり、青春しているのだ?

「高校生から20代の若者がメインターゲットですが、森さんの人気やオロナミンCを飲んで頂いているお客様は、老若男女幅広く、様々な方に向けたCMとしています」(大塚製薬広報部)

 おじさんが見捨てられ、高校生にのみ目が向けられるようになったわけではないのだ。もともとオロCは国民的ドリンクを目指してきた。確かに古くから子供や若者にまで目配せしている。

 牛乳と合わせた「オロナミンミルク」、卵黄を混ぜた「オロナミンセーキ」などをCMで提案したのは1972年。中高年層ならおぼえているはず。やたらと美味しそうに見えた。

 また、栄養価は高いが、ユンケル黄帝液(佐藤製薬)などの医薬品とは違う。清涼飲料水だ。気軽に飲めるものだから、森の起用により、今まで以上に幅広い層に訴えかけようということらしい。

「森さんご本人のハツラツとしたキャラクターと、ブランドとして描きたい世界観がマッチしたため、今回の起用に至りました。森さん演じる主人公が、毎回、背中を押してくれる、『元気ハツラツ!』を届けてくれる、という内容にしています。

 とんでもないことは日常よく起こる。でも常にバタバタしながらもポジティブで、明るく、元気のチカラで、まわりも元気にしていく。そんな役柄が、高校という舞台でより生かされると考え、高校を舞台にしました」(同・大塚製薬広報部)

 とんでもないこと――。新型コロナ禍もそうだろう。こんな時期に暗いCMはそぐわない。やたら森が元気なこのCMは視聴者にも広告関係者にも評判がいい。

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