ヤクザと大乱闘で注目、歌舞伎町の「スカウト」というお仕事  実態は“不動産屋”?

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路上からSNSに変わる仕事場

 スカウトという仕事の善悪を論じることはここでは止そう。Aさんの話を聞いていると、まるで不動産の仲介・管理業者のようだ。

「自分は大学生のときからスカウトの仕事をしています。スカウトの方にスカウトされて始めました(笑)。卒業後に3年ほど働いていたのですが、スカウトの経験を活かし、某大手不動産で仲介の仕事をしていたんです」

 ただしAさんは、当初から他のスカウトとはやり方が違っていた。路上で女性に声をかけるのではなく、ネットを活用していたというのだ。そして現在では、むしろこちらの方が主流のスカウトの方法になっている。

「ナチュラルは昔ながらの路上スタイルを続けているみたいですが、そもそも新宿区はスカウト行為が条例で禁じられていますからね。いまはTwitterを使って、仕事を探していそうな子にメッセージを送ってスカウトしています。あるいは、フォロワーの多い女の子に『いいお店です』とか『体験入店してきました』と呟いて、拡散してもらうなどの方法です。自分が駆け出しのときはSNSが今ほどではなかったので、当時主流だったmixiを使っていました。夜の仕事に興味のある女の子募集、みたいなグループを作ったりして。mixiはTwitterと違って顔写真を載せる子が少なかったから、会ってみたら『あれ?』という女の子が多かったことを覚えています……」

 路上からSNSに場が変わるとともに、スカウトの仕事の内容も変わってきた。これまで取り上げてきたような仕事のみならず、病院事務や介護士、弁護士なども、スカウトの紹介先になっているというのだ。人手不足のところにスカウト在り、の様相である。

「女の子と話をするときには喫茶店を使いますが、電源があって携帯が充電できるから、基本的にはルノアール。コーヒー代は高いですが、自腹です。あとは鬼のような連絡でかさむ携帯電話代も、もちろん自腹。だからスカウトは、収入が安定するまでは結構たいへん。それでもやればやっただけ稼げるから、自分は続けられてきました」

 ホストやキャバクラ嬢に比べれば、目立つことは少ないスカウトという仕事。夜の世界を陰で支える、縁の下の存在といえるのかもしれない。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月4日掲載

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