創刊45年「JJ」が休刊 元祖JJガール「山田美保子さん」が語る“赤文字系雑誌の思い出”

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カリスマも生まれた

山田:創刊当時は隔月刊だったんです。それを学食で、友達と回し読みするわけですよ。ファッションチェックはもちろんでしたけど、「JJ」は今で言う“読モ”を起用したハシリの雑誌でした。都内の女子大生たちが大勢出ているから、必ずチェックしましたね。当時は実践女子とか立教女子短大の子とかがよく出ていて、むしろ青学は、出遅れていましたね。

――知り合いも掲載されたりとか?

山田:いっぱい出ていましたよ。「JJ」には読者編集者もいて、顔の広い彼女たちが、企画があると声をかけるわけです。当時はスキーやゴルフ、テニスといったサークルブームでしたから、テーマに合わせて知り合いの女子大生に声をかけるわけです。「an・an」のようなファッションショーに出るようなモデルではなく、自分たちと等身大の子がモデルですから親しみやすい。そうした中から、カリスマ、スターも現れました。

――どの様な方々が?

山田:成城短大の樫本知永子さん。現在は黒田知永子さんとして、同じ光文社の「VERY」(95年創刊)を経て、「STORY」(02年創刊)などでモデルをしていました。東横女子短大の玉井亮子さん(旧姓・高橋)や、花田理美子(旧姓・紅谷)さんたちはカリスマでしたね。当時は、海外撮影もありました。ちなみに「VERY」は結婚した30代くらいが読者層の女性誌で、「STORY」は子供もいる40代くらいをターゲットにした女性誌。50代向けには「HERS」(08年創刊、今年8月号を以て休刊)もありました。「JJ」の人気モデルと読者が年を追う毎に、その世代向けの女性誌が生まれていったわけです。

――山田さん世代のために続々と新雑誌が創刊されていったわけですね。

山田:そうなんです。今は60代向けの元気のいい女性誌を待っているんだけど……。元祖JJガールが読む、いい意味でミーハーっぽい雑誌が出てこないんですね。光文社に限らず、今は紙媒体が大変な時代ですから、なかなか難しいのでしょうけど。景気が悪いから広告も入らないし、若者はスマホばっかりですからね。学食でファッション誌の回し読みなんてないでしょうし。

――「JJ」の良さってなんだったのでしょう?

山田:読者の志向を素早く嗅ぎ分ける力がありましたね。「“なんちゃって”シャネル」を始め、「JJ」ならではのタイトルの付け方も秀逸でした。「フクゾー」のトレーナー、「ミハマ」の靴、「キタムラ」のバッグという“ハマトラ”(横浜トラデショナル)ブームを作り出したのも「JJ」でした。女子大生をターゲットにして創刊され、後続誌も出てきたことで、80年代の女子大生ブームにつながり、セリーヌやディオール、クレージュなどのハイブランドブームとの相乗効果もあって、赤文字系雑誌は伸びたのだと思います。

――今の大学生はファッションに興味がないとも言われるが……。

山田:女子大生にパワーがなくなってしまったのかな。ファストファッションのお店も潰れる時代ですからね。お金がないところに加えて、コロナのせいで講義もリモートでは、楽しいトレンドは生まれません。淋しい限りですね。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月1日掲載

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