テレビ局の既得権にメスを入れる「電波オークション」とは ノーベル賞受賞の制度、各国は既に導入(KAZUYA)

国内 社会 週刊新潮 2020年10月29日号掲載

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 何かと注目を集めるノーベル賞ですが、今年の経済学賞は日本のマスコミ、特にテレビ業界からすると隠しておきたいことでしょう。

 今年受賞したのは、米スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とロバート・ウィルソン名誉教授で、オークション理論の発展への貢献が評価されてのことです。

 彼らの研究は従来難しいとされていた「電波オークション」を実現させました。より高い金額を示した事業者に周波数を割り当てるというものですが、アメリカでは90年代に導入して納税者の利益につながっています。

 電波の割り当てにおける透明性や効率性を確保するために各国で行われている電波オークションですが、日本では行われていません。

 よほど日本人には電波オークションを周知されたくないのか、経済学賞の受賞についての報道を見ると、記事本文では電波オークションに触れているものもありますが、見出しには「競売理論の実用化で功績」や「オークション理論発展」など、少しわかりにくい表現を使っていたのが印象的です。

 日本の場合、テレビ局と新聞社が互いに資本関係にある、いわゆるクロスオーナーシップで運営されています。そのため、テレビ業界にとって不都合なことは新聞でも扱いが軽くなってしまうわけです。逆も然りで、不祥事があると申し訳程度に少し触れますが、普段政権を徹底追及するような姿勢は全く見られません。これを不健全と言わずに何と言うのか。

 日本のテレビ局は格安の電波利用料で莫大な利益を上げています。総務省の「令和元年度 主な無線局免許人の電波利用料負担額」には携帯電話会社とテレビ局各社の電波利用料負担額が掲載されています。

 これを見ると、NHKが年間24億9650万円、TBS、フジ、日テレ、テレ朝、テレ東の在京キー局はそれぞれ6億円台で続いています。地方の大手は1億円台、本当に小さい局になると百万円程度です。

 規制で守られて新規参入が難しい業界で格安の利用料しか払わず電波を使い、在京キー局の年間売り上げは数千億円にもなるわけですから、こんな既得権はなかなかないでしょう。

 先ほどの総務省の統計には携帯電話会社の電波利用料も掲載されています。主要3社を見るとドコモが184億、ソフトバンク150億、KDDIが114億円で、テレビ局よりは払っていますが、こちらは売り上げも数兆円のレベルになるので、やはり格安感は否めません。

 菅政権は携帯電話料金の値下げを掲げていますが、確かにその余地はあるのだろうと思います。時の政権が本気になれば、実際に流れができるのです。

 ぜひ菅政権には電波オークションの道筋をつけてもらいたいところです。しかし強力な既得権だからこそ、猛烈な反発が予想されます。テレビ局はあれこれ理由をつけて反対するでしょうが、適正な競争は報道にも緊張感をもたらし、一般国民にとっては利益しかありません。

 惰性で続いてきた既得権益にもメスを入れるべき時です。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者74万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)